※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.237(2024年5月30日配信)からの転載になります。
2018年に経済産業省は「DXレポート」をまとめ、日本企業のDX化が進まなかった場合には2025年以降、毎年12兆円もの経済損失が生じるとして、DX化が進まない日本の現状を「2025年の崖」と呼び、強く警鐘を鳴らしました。
現在の日本企業の多くは旧式の基幹業務システム、いわゆるレガシーシステムを利用していますが、この既存のシステムは会社の事業部門ごとに独立して構築されていることが多く、全社横断的なデータ活用ができないといわれていました。また、現在ではほとんど使用されなくなったプログラミング言語をそのまま利用していることもあるといわれていました。
人材不足もあって老朽化しても直すことができず、運用や管理自体も困難な状況に追い込まれ、新しい技術が出てきたとしても、既存システムに採り入れることができません。その場合、市場の変化に対してスピーディーかつ柔軟に対応したビジネスモデルの変更を行うことができず、企業はデジタル競争に負けてしまう可能性があると「DXレポート」は指摘していました。
企業を取り巻く技術やITサービス・デジタル市場は大きく変化しています。特にクラウド活用の進展とともに、従来型のITサービス市場が成熟する中で取引にまつわる市場機能が高度にデジタル化され、ヒト・モノ・情報・カネの流れがダイナミックに組み合わさった、さまざまなサービス・活動が始まっています。
これは大企業だけに限った話ではありません。板金業界でも2000年以降にデジタル化が進み、工場内ネットワークシステムの構築が進みました。しかし、当時導入したシステムもバージョンアップはされてきたものの、今やレガシーシステムとなり、DXへの対応が迫られています。
多くの中小製造業ではデジタル人材の不足が深刻化し、システムの刷新を担う人がいないという問題があります。その結果、サイバーセキュリティーや、システムトラブルなどのリスクが高まっています。
だからといって、経営者がITシステムの導入を外部のベンダーに依頼しても、既存の作業フローやビジネスプロセスを刷新することに対して、現場サイドが抵抗するケースも見られます。現場の理解を得るとともに、社員が進んで導入プロジェクトに関わることのできる仕組みづくりが重要になっています。
2025年の崖は目前に迫っています。