生産年齢人口の減少に対応する板金業界【メルマガ連携】

 ※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.183(2022年4月26日配信)からの転載になります。

 

総務省が先ごろ発表した人口推計によると、2021年10月1日時点の総人口(外国人を含む)は前年同期比で64万4,000人少ない1億2,550万2,000人となりました。減少は11年連続で、減少幅・減少率ともに統計を取り始めた1950年以来、最大となりました。また、労働の担い手となる15~64歳の「生産年齢人口」は58万4,000人減の7,450万4,000人で、総人口に占める割合は59.4%と過去最低を更新しました。

 

その要因のひとつが、新型コロナ感染防止の水際対策によって過去2年間、入国をきびしく制限されてきたことによる外国人労働者の流入減です。自然増減を加えた外国人の人口は272万2,000人で2万5,000人減りました。生産年齢人口の落ち込みを外国人労働者で補う傾向が強まる中で、外国人の入国制限が労働市場へ与える影響は小さくありません。

 

徐々に入国制限は緩和されてきていますが、外国人労働者の入国ペースはなかなか上がりません。東南アジアではすでに日本で働く魅力が薄れているともいわれており、外国人労働者にとって魅力のある雇用環境をつくることも大きな課題となっています。

 

女性や高齢者の労働参加で補おうにも、日本では育児や子育て、介護などに対応して安心して働ける環境整備が進んでおらず、生産年齢人口の低下は日本経済の下振れリスクになっています。

 

板金業界でも、水際対策で外国人技能実習生の入国ができなくなって以降、人手不足によって納期対応に苦労したという企業は少なくありません。首都圏を中心に社員総数に占める外国人労働者の割合が10%を超える企業が増えており、人手不足が深刻になっています。

 

その対策として、高齢者雇用や女性社員の採用を積極的に進める企業も増えています。また、正規社員の定年を65歳に延長する一方で、定年後から70歳まではシニア社員として働いてもらい、71歳以降は働ける時間だけ働いてもらうパート社員として雇用する企業も出てきています。女性社員の働き方改革に取り組む企業も増えています。

 

それとともに、生産年齢人口が減少する中で一定の成長を維持するためには、ITやロボットなどの自動化・省人化投資を進め、生産性を向上させる取り組みが欠かせなくなっています。