「就カフェ」の活用、外国人高度人材の活用など、求人にも新しい動きが顕在化【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.106(2019年5月31日配信)からの転載になります。

 

数年前から関西で始まった「就カフェ」をご存じだろうか。

 

大阪大や京都大など有名大学の近くにおしゃれな雰囲気のカフェをオープンし、就職活動中の学生が自由に来店して就職情報の入手や交換ができる。

さらに、Wi-Fiを設備したサイバー空間と、卒業研究の論文のまとめなどができる静かで落ち着いた環境も提供している。

 

来店する学生は、低料金で飲み物や軽食のサービスを受けることができる。

カフェの中にはサロンもあり、定期的に企業の就職個別セミナーなどを開催。

運営費などは協賛する大手企業がスポンサーとなって提供している場合が多い。

 

最近はこうしたカフェが全国各地に広がり始めている。

カフェを運営するオーナーの大半は家業が中小製造業で、事業承継や人手不足に悩みを持っている方々が多い。

そんな若手経営者が集まって、どうしたら優秀な人材を確保できるか、事業承継をどのように進めていけばいいのか、話し合っている中で「就カフェ」のアイデアが生まれたのだという。

 

最近は就職戦線も売り手市場で、優秀な人材集めに苦労する企業が多い。

そうしたニーズから、こうしたカフェが誕生しているケースもある。

優秀な人材は熱心なあまり、研究室に寝泊まりして卒業研究や卒業論文などのまとめをする場合が多い。

邪魔しない程度にヒトの気配が感じられる、こうしたカフェで作業するほうがはかどる場合もある。

さらに、就職予備軍の1~2年の学生の中には講義の合間に予習・復習の場として「就カフェ」を利用するケースもあり、同学年では味わえない多文化を体験できることでも人気が出ている。

 

こうした活動に取り組んだ中小製造業の中には、この4月、優秀な大卒人材を5名も確保した企業も現れており、求人活動にも新しい動きが表れている。

また、ある中堅企業は情報工学やCADの分野で優秀な人材を集めるため、日本の工科系大学院に留学するマレーシア、ベトナム、ミャンマーなどの外国人留学生をターゲットにリクール活動を行い、これまでに20名近い人材確保に成功している。

むろん、待遇は日本人の正規社員と同等で、給与・賞与を含むと母国に帰ってローカル企業に就職するよりもはるかに高い条件が示されている。

 

「国の大学で勉強して、日本でさらに高度な学問や技術を学んだ彼らは、すぐに帰国するよりも、もう少し日本で働き、学びたいという希望を持っている。

しかし、日本に残るためには就労ビザを取得して、しっかりとした企業に就職しなければいけない。

そこに中小企業にもチャンスがある。

大学の研究室とパイプをつくり、日本での就職を考えている彼らの要望をキャッチして当社へ入社していただくパイプを構築した。すでにこの事業を展開して数年になるが、今では帰国した社員が、当社の現地社員として、ローカルの人材を集めて事業を立ち上げるケースも生まれている。これからは海外の高度人材を活用する以外に、優秀な人材の確保は難しくなってくる」と、その企業のトップは語っていた。

 

人材が集まらないとこぼす前に、知恵を出すことが必要になっています。