※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.70(2017年12月28日配信)からの転載になります。
NHKで毎週金曜日夜10時から放映されているTVドラマ「マチ工場のオンナ」が話題を集めている。
32歳の専業主婦の主人公・有元光が、町工場を守ろうとする父の思いを知り、急逝した父が残した倒産寸前の町工場の社長に就任する。
町工場の経験はゼロだが、主婦目線で様々な困難を乗り越え、奮闘するという筋立てとなっている。
「モノづくり女子」が話題が集める世相も影響して、視聴率もいい線を行っているとのこと。
12月29日に2話連続で放映され最終回となるので、まだ見ていない方はぜひ、見ていただきたい。
原作は、自動車メーカー、部品メーカー向けの金型・ゲージ・治工具の設計・製作・製造を手がけるダイヤ精機(株)の諏訪貴子社長が上梓した「町工場の娘」。
諏訪社長は成蹊大学工学部卒業後、自社の取引先である自動車部品メ-カー、ユニシアジェックス(現・日立オートモーティブシステムズ)に入社。
父親の要請で1998年、2000年と2度にわたってダイヤ精機に入社するが、いずれも経営に対する考えのちがいからリストラ宣告を受け退社した。
以後は専業主婦となって家庭と子育てに情熱を傾けた。
ところが父親が急逝し、2004年に同社の社長に就任した。
様々な壁にぶつかりながら、2代目社長としての手腕を発揮、新しい社風を構築し、堅実な経営で同社を再生した。
現在は育児と経営を両立させる若手女性経営者として、経済産業省産業構造審議会委員、政府税制調査会特別委員などにも就任、公私に渡って活躍されている。
現実の諏訪社長は大学工学部を履修され、自動車部品メーカーに勤めた経験を持っている。
モノづくりの現場がどのようなものか、アウトラインは把握されている。
しかし、ドラマのヒロイン有元光は、主婦目線で問題を解決するという筋立てに脚色されている。
経験のないモノづくり女子でも、情熱を持ち、経営の王道を忠実に行い、諦めない気持ちを持ち続けることができれば、道が拓けるという流れになっており、モノづくりに関わる人には応援したくなるドラマとなっている。
年末にお目にかかった業界関係者とお話をすると、多くの場面でドラマの話が話題になった。
意外に多くの業界人が見ておられ、共感する場面、反省する場面など様々で、楽しいひと時だった。
昨日も業界関係者との忘年会で、このドラマが話題となり、ほぼ全員が有元社長を応援し、「29日の最終回で、有元社長がリーマンショックをどのように切り抜けてこられたかの話に興味がある」と言われていました。
ドラマを通してモノづくりの可能性を多くの視聴者に知っていただけるのは良いことだと思います。
こうした番組を見て、モノづくり女子が増えることを願っています。