※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.203（2023年1月31日配信）からの転載になります。 

 

 

10年ぶりの大寒波となった1月24日と25日に、青森・岩手のお客さま3社を取材で訪れました。さいわい交通の乱れもなく、予定どおり訪問することができました。

 

3社とも太平洋岸に近い場所にあり、積雪は日本海側に比べると多くありませんが、吹雪で視界が悪く、周りがほとんど見えなくなることもありました。日中でも外気温はマイナス7.5度という厳寒で、工場外観の撮影や工場間の移動などで屋外へ出るたび体が凍え、指先に痛みを感じました。雪用ブーツを履いてはいましたが、転ばないように雪道を歩くのも大変でした。

 

お客さまにとってはそうした環境が当たり前で、みなさんエネルギッシュに働いておられました。3社とも50名以上在籍しており、社員の平均年齢は30代で、若い社員の姿が目立っていました。

 

1社は首都圏に本社がある100名規模のメーカーの工場でした。国内シェアが80％超えという有力商品をラインアップに持っており、設計から加工、組立、電装組込までを一貫生産されていました。昨年竣工した第二工場（板金工場）は環境にも配慮し、建物全体が空調管理され、快適な環境で仕事をされていました。

 

80名規模のお客さまは、年内に40代の社員を経営幹部とする組織改革を計画中でした。外部コンサルタントも参加して勉強会を毎週開催し、リーダー教育を進めておられました。コロナ禍にもかかわらず、前期決算では過去最高の売上・利益を達成されていました。

 

残る1社は50人規模で、平均年齢は36歳と3社の中で最も若く、当年40歳の2代目が工場長という立場で工場全体を取り仕切っておられました。大学卒業後、自動車メーカー系の自動車部品メーカーで生産技術 ― とりわけライン編成を担当し、数年前に工場に入社されました。自動車のものづくりと比較して、あまりにもアバウトな板金ものづくりを見て、徹底した工程の見直しと社員の意識改革を推進し、企業体質の大胆な改革を進めておられました。

 

「辛抱強い」「粘り強い」という従来の東北人気質に「先進性」「継続性」というポジティブマインドが加わり、不確実な時代を牽引するエネルギーとなっている好事例を見せていただきました。

 

これまで、東北地方を取材で訪れる機会は他の地域に比べると多くありませんでしたが、2023年は「Look East」― もっと東北に目を向ける必要があることを痛感しました。