冬季オリンピックと人材育成【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.75(2018年2月28日配信)からの転載になります。

 

第23回オリンピック冬季競技大会(2018年平昌オリンピック)が閉幕した。

 

日本は、冬季オリンピックでは過去最高の13個のメダルを獲得、「オールジャパンでの取り組みの成果」が強調された。

一時は緊張する朝鮮半島情勢の影響で開催すら危ぶまれたが、オリンピックを契機に南北対話が急速に進み、表面的には平和な祭典として成功裏に閉幕となった。

 

今回の日本人選手の活躍には目を見張るものがあった。

とくにオリンピック2連覇を果たしたフィギュア男子の羽生結弦選手や、スケート女子500mで金メダルを獲得した小平奈緒選手のスポーツマンシップの素晴らしさなどには、選手としても人間としても世界に誇れる日本人選手の姿を見ることができ、感動した。

 

また、ネバーギブアップのカーリング女子のチームプレイ。

中継では、お互いを信頼した声のかけ合いをライブ音声で聞くことができ、臨場感とともに、ほのぼのとしたメンバーの会話に、カーリングという競技を知らない多くの日本人が虜になったのではないだろうか。

これまで冬のスポーツにはまったく興味を示さなかった家庭の主婦層も、毎晩遅くまでテレビ観戦をしていたようだ。

メンバーの間で飛び交っていた「そだねー」という北海道の方言は、今年の流行語大賞の有力候補になりそうだ。

 

2月26日夜の「NHKスペシャル」では、金メダルに輝いた選手たちの舞台裏を、インタビューとともに放映していたが、過酷なトレーニングと、スポーツ科学によって克明に解析された理論に基づく選手強化のプロセスに驚かされた。

人体の筋肉や骨格の様々な挙動を解析し、競技に取り組む選手の体力づくりを行うとともに、これまでメンタルの弱さを指摘された日本人選手の精神面の強化策に取り組むコーチをはじめとしたスタッフのサポートに驚かされた。

また、コーチングスタッフに多くの外国人コーチが招聘されていたのも意外であり、スポーツの国際化が急速に進んでいる様子も知ることができた。

 

その一方で、ドーピング違反で国としての参加が認められなかったロシアのように、国家の威信をかけて勝つために、薬に頼って筋肉を増強したり、抗うつ剤を服用して一時的に“ハイ”な状態で競技に向かわせたりといったことが、国を挙げて平然と行われてきたことを知るにつけ、ロボットのように扱われる人間の姿を見せられるようで心が痛んだりもした。

 

また、「東京マラソン2018」で、日本記録を塗り替えた設楽悠太選手に、報奨金1億円が支払われたことが大きく報道され、選手のモチベーションアップの方法についても学ぶことが多かった。

 

最近お客さまの工場を回らせていただくと、人手不足を背景とした働き方改革の中で、社員のスキルアップを目指すために、様々なインセンティブとひも付けした人事評価システムを採り入れる企業が増えている。

これからは社員の自主的な向上心に期待する一方で、モチベーション改善のためにいろいろな方法が採り入れられていくだろう。

 

その意味で、オリンピック代表選手の育成・強化にみられる方法の中からも、企業が参考にできるアイテムがあるだろう。