※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.87(2018年8月30日配信)からの転載になります。
台風と猛暑の夏休み、都会の喧騒の中で緑陰を楽しもうと明治神宮を参拝しました。
木漏れ日の下を歩くと、心地よい風が頬をなで、別天地のようでした。
神宮弓道場ではちょうど全国中学生弓道大会が開かれており、しばし観戦。
凛々しいはかま姿、一列に並んだ前の人が射終わるまでスタンバイしない奥ゆかしさなど、真・善・美を最高目標とする和弓は、心身の鍛錬を目的とした日本の武道として不動心を養うことでも知られている。選手たちのはつらつとした姿に、見ている私も思わず背筋を伸ばしていました。
すがすがしい心持ちになった後、6月の花菖蒲の季節には多くの来場者で賑わう明治神宮御苑を散策。
あいにく菖蒲の時期は終わり、萩の季節には早すぎるので、池に咲く蓮の花を眺めました。
歩く道端に、茎の先っぽに紅い小花を穂状に付ける水引草を見つけ、秋を感じることもできました。
そこからパワースポットとしても知られる「清正井」(清正の井戸)に行きました。
時には行列になると聞いていましたが、並ぶ人影も少なく、澄み切った井戸からこんこんと湧き出る水を眺めることができました。
井戸の中の水には手が触れられないものの、そこからあふれ、せせらぎとなった水に手を入れると、一時の涼とともにパワーをいただけた心持ちになりました。
現在の御苑の場所は、江戸時代の初めには加藤家の別邸があり、清正が住んでいたか否かは定かではないものの、屋敷の配置や造園に関しては清正が指示したと伝えられています。
清正は「築城の名人」といわれ、熊本城、名古屋城などを築城、治水や干拓などの土木技術に長けた武将との名声は高い。
それだけに、今も水が絶えることのない「清正井」がパワースポットとしてもてはやされるようになったようです。
加藤家が断絶すると、その後は彦根藩主である井伊家の下屋敷となったということで、茶の道に造詣が深かった大老・井伊直弼もこの場所を訪れていたかもしれないと思うと、歴史のロマンを感じて都心の散策も楽しいものだと思いました。
ところで、神宮御苑でも日本人以上に目立っていたのが海外からの訪日外国人。
特に当日はイタリアからのツアー客が多かったように思いました。
ベンチに座り、池に咲く蓮の花を眺めていると、イタリア人の夫婦が記念写真を撮ってくれというので、シャッターを押すと「グラッツェ」と挨拶されました。
知っていたイタリア語で「プレーゴ」というと、満面笑顔で握手してくれました。
京都から前日に東京に入り、今日は都内観光だと話してくれました。
ともかく猛暑がこたえているようで、これから浅草へ行く予定のようでしたが、パートナーはここで少し休みたいと音を上げていました。
そこで「清正井」のいわれを話して、「そこでパワーをもらえれば浅草まで行ける」と話をしたら、「グラッツェ」といって2人は「清正井」へ歩いていかれました。
家族連れが途中の代々木ポニー公園で幼子にポニーを眺めさせていました。
話を聞くと、日本に駐在するアメリカ人ファミリーで、夏休みの過ごし方などを聞くと、「毎日暑いのでクーラーの効く部屋から外に出ることができない。7月に北海道へ旅行したが北海道も暑かった」と話してくれました。
半日の散策でしたが、いろいろなことに出会うことができました。
この夏は猛暑と台風、集中豪雨 ― 地球温暖化による環境の変化を強く感じましたが、日本の花鳥風月、伝統文化などと触れ合い、それを目的に訪日された外国の方々とお話をする機会があると、日本の素晴らしさに改めて感動するとともに、世界が小さくなっていくことを実感しました。