日台連携ビジネスが進み始めた台湾板金業界【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.62(2017年9月29日配信)からの転載になります。

 

9月18日から2泊3日で台湾板金業界の取材に行ってきました。

 

台湾経済は昨年下期から緩やかな回復基調となり、今年に入ってからは半導体を中心とする電子産業が牽引するかたちで、次第に力強さを増すようになっています。

2017年通年の実質GDP成長率も、5月時点の予測値2.05%から2.11%に上方修正されました。

 

台湾は、2016年1月の総統選挙と立法委員選挙で、蔡英文氏が率いる民主進歩党(民進党)が勝利しました。

中国との関係強化に取り組んだ国民党の馬英九政権の8年間で、中国への依存が強まった一方、経済的な格差が拡大。

特に若い世代の失業率上昇などから、若い世代の間で馬政権に対する不信感が強まりました。

 

こうした中で、蔡英文氏は格差是正への取り組み、若者の給与水準の引き上げ、低所得者向け住宅の整備、バイオや自然エネルギー関連の産業振興で新たな雇用を創出することなどを掲げて、選挙に臨みました。

 

しかし、全体の失業率は3.91%ですが、20~24歳に限れば12.41%と突出しており、改善の兆しは見えていません。

こうしたことから蔡政権への支持率は急落しました。

 

そこで、9月になって新行政院長(首相)に頼清徳台南市長を起用しました。

頼清徳台南市長は台湾独立の急先鋒といわれ、若者を中心に根強い支持がありました。

こうした支持率回復への対応策と、景気回復が追い風となって、蔡政権への支持率は回復の兆しを示すようになっています。

 

そんな環境の中で、台南市・台中市にある板金業者を訪問しましたが、いずれの会社も受注は好調で、工場は2シフト、3シフトで稼働しており、先頭工程のブランク工程にはファイバーレーザマシンや工程統合マシンが、いずれも棚付きのセル仕様で24時間稼働しています。

従業員規模は80~120名までと中堅クラス。

驚くのは、設計部門に全社員の2割に相当する20~25名ものエンジニアがおり、3次元CADを活用した設計提案を行い、OEMやODMにまで対応する能力を持っていることです。

 

また、もともと労働力人口が少ない台湾では、以前から全従業員数の20~25%までなら外国人労働者を雇用することができるので、いずれの企業でも限度枠いっぱいに外国人労働者を採用していました。

出身国もタイ、インドネシア、ベトナムなどと幅広くなっています。

 

そして受注先は、台湾ローカルのみならず、欧米から日本まで幅広く受注していることが大きな特徴です。

特に最近は日系企業へのアプローチが増えており、日本の板金企業とタッグを組んで協業するケースも出てきています。

板金業界では、すでに日台連携がビジネス段階にまで進んできている企業も見受けられるようになりました。

 

先々が楽しみな反面、日本の板金企業もグローバル化を真剣に考えていく必要があると思いました。

11月号を楽しみにしてください。