※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.148(2020年12月25日配信)からの転載になります。
日本自動車工業会の豊田章男会長が12月17日に行ったメディアとの懇談の席上での発言が話題を集めています。
菅総理大臣の「2050年までに脱炭素社会を目指す」、小池東京都知事の「2030年に100%非ガソリン化する」といった発言が目立つ中、豊田会長は自動車業界のトップとして、メディアの報道姿勢を含め、電動化の課題をはっきりと指摘していました。
特に「電動化車両にはハイブリッド(HV)や、プラグインハイブリッド(PHV/PHEV)も含まれているのに、報道を見ると電気自動車(EV)しか販売できないようなミスリードをしている」とメディアの勉強不足を指摘していたのが印象的でした。
インパクトがあったのが、電動化のためには「国家のエネルギー政策の大変革なしにカーボンニュートラルは達成できない」というくだりでした。
豊田会長は「乗用車400万台をすべてEV化にしたらどういう状況になるかを試算したので、ぜひ紹介させてください」として、
「夏場の電力使用ピーク時には、電力不足に陥ります。解消には発電能力を10~15%増やさないといけません。これは原発でプラス10基、火力発電であればプラス20基が必要な規模となります」
「自宅の充電機増設コストは約10万から20万円。集合住宅の場合は、50万~150万円。急速充電器の場合は平均600万円の費用がかかります。これらの設置に約14兆円から37兆円の充電インフラコストがかかります」
など、具体的な数値を挙げながら発言していました。
引用すると長くなりますが、どれも説得力があり、政治家のスタンドプレー発言に
はないリアリティーを感じました。
また、メディアの一端を担う身として猛省しました。