コロナ禍が突きつける課題【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.143(2020年10月28日配信)からの転載になります。

 

もう11月、今年も残り2カ月となりました。

コロナに始まりコロナに終わる1年になりそうです。

 

新型コロナウイルス感染「第2波」で、欧米では1日あたりの新規感染者数が過去最高を更新し、スペインやフランスなどでは移動制限などの措置も取られています。一部では医療崩壊も伝えられ、心配な状況が続きます。元に戻りつつあった社会経済活動も再び停滞し、クリスマスから新年にかけて経済状況は一段ときびしさを増すことになりそうです。

 

米国では大統領選挙を11月3日に控え、トランプ大統領、バイデン候補の両陣営ともにヒートアップしていますが、新型コロナウイルスの感染者数は増え続けており、どちらの候補が大統領に指名されたとしても、社会経済活動の継続と感染予防対策の両立に全力で取り組むことが求められています。

 

日本でも、東京など大都市圏を中心に連日700人前後の新規感染者が発生しており、累計感染者数10万人も目前に迫っています。その一方で「GoToトラベル」や「GoToイート」のキャンペーンが始まり、行楽地にも以前の賑わいが戻ってきました。先日利用した航空機は、小型機に変更されたとはいえ満席で、新幹線ではツアー客の団体と乗り合わせるなど、1カ月前とは状況が大きく変わってきています。これまでのところ感染者数の増加や大規模なクラスターの発生は抑えられていますが、年末の帰省時期にどうなるか予測がつきません。

 

政府の緊急経済対策は、財源が枯渇する事業も出てくるなど、継続が難しくなってきました。事態が改善されない中で疲弊している中小企業は多く、特に雇用を継続するため雇用調整助成金などを活用している企業と労働者にとって、経済対策が継続されるかどうかは死活問題です。

 

一方で、こうした経済対策を延長することは、政府が進めようとしている構造改革に逆行するとの見方もあります。日本は中小企業数が多すぎるため、これらを半分程度にしないと国際競争に勝てないとも指摘されています。その観点では、“withコロナ”を生き抜く中で「集中と選択」を行い、構造改革を進めることも重要な課題です。

 

そして何よりも、こうした経済対策の原資が国債発行による借金で賄われていることを忘れてはいけません。すでに日本の借金総額は1,110兆円を超え、国民1人あたりの借金も900万円を超えています。

 

コロナ禍は私たちにさまざまな課題を突きつけています。