※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.222(2023年10月30日配信)からの転載になります。
板金業界のダイバーシティ化が加速してきました。
人口減少が顕著となる中、2000年以降は板金業界でも外国人技能実習制度を活用して中国、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどの外国人が急速に増えてきました。都市部のみならず、地方でも外国人研修生を活用する企業が増えていき、従業員の半数が外国人労働者という企業も珍しくなくなっています。
その後、「特定技能」の在留資格が整備され、滞在期間が5年に延長されました。さらに、製造DXに対応してデジタル人材を確保するため、海外の理工系大卒者、日本の大学に留学して学んだ学卒者を日本人社員と同等の雇用条件で雇用し、エンジニア(高度人材)として採用する企業も増えています。
3年間の実習期間を終えて帰国した社員をコアメンバーとして現地法人や事務所を設立し、CAD/CAMの仕事をアウトソーシングする事例も多く見られます。
ある企業では、ベトナムの現地事務所に3次元CADに精通した現地社員が4名おり、日本から送られた図面データ(IGES・DXF・PDF)から展開・プログラム・ネスティング・作業指示書作成までを行って、日本のデータサーバーにアップロードするフローを確立していました。日本の本社に在籍する専任プログラマが、常時彼らの作業を4台のライブモニターでチェックしながら、送られてきたデータを確認し、作業を進行していました。
建築関連の仕事を手がけているある企業は、建設業界のデファクトスタンダードになりつつある「BIM」(Building Information Modeling)を5ライセンス活用し、スーパーゼネコンの案件に対応していましたが、この操作の担当者は3名の外国人エンジニアでした。10名の外国人労働者のうち5名がエンジニアで、中には戸建てを購入して家族で日本の生活を楽しむエンジニアもいるそうです。
ある企業経営者は「これからは大卒社員を積極的に採用する」と語っていましたが、念頭にあるのは「海外の大卒エンジニア」でした。別の経営者は、日本語専門学校で2年間学び、日本語教育ができる資格を取得して、入社する外国人材の日本語教育をみずから指導されていました。
外国人材によっては、宗教上の理由でお祈りや、それを行うために足をきれいにする足洗い場が必要になります。最近はそうした施設を新たに設置する企業も増えています。外国人材とのコミュニケーションを絶やさないために、社内の共通言語として日本人社員に英語教育を行う企業も現れています。
人手不足が深刻化する中、こうしたダイバーシティ化への対応が強く求められています。