ニデックのTOBによる牧野フライス買収提案に想う【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.255(2025年1月30日配信)からの転載になります。

  

 

2024年12月27日にニデック(株)が(株)牧野フライス製作所のTOB提案を発表したことが、話題になっている。牧野フライスの製品はフライス盤をはじめ金型業界のマザーマシンとして高いシェアを持っており、ニデックに買収された後の保守・サービスを不安に思っているお客さまも多い。

 

ニデックは牧野フライスの経営陣の同意を得ず、事前に接触もせずに公表したことについて、「今回のTOBは、交渉過程から公開して透明性を確保できるフェアな方法」と強調している。これまで日本で行われてきたTOBでは水面下での交渉が一般的だっただけに、市場に一石を投じている。

 

TOBが成立すれば買収総額は2,500億円超となり、創業以来、半世紀で70件超のM&Aで成長してきたニデックにとっても、過去最大の買収になるという。

 

ニデックは、工作機械事業を新たな成長の柱として位置付けており、2021年に三菱重工工作機械(現:ニデックマシンツール)、2022年にOKK(現:ニデックオーケーケー)、2023年にイタリアのPAMA、2024年はTAKISAWAを買収、工作機械事業の拡充を進め、2024年3月期の工作機械事業の売上高が1,182億円となっており、工作機械事業を2030年に6,000億円、最終的には1兆円を目指すという。

 

日本工作機械工業会の会員数は111社、年間の売上規模が約1兆5,000億円なので、1社平均は130億円と小規模でプレーヤーの数が多いとされてきた。そのため、国内での不要な競争が多いことから、グローバル競争力強化の意味で、以前からシナジーを想定した「グループ化」「連合」が試みられてきたが、業界再編には至っていなかった。ニデックはこれを強力に推進する方策としてM&Aによる企業買収を推進している。

 

工作機械は「マザーマシン」ともいわれ、産業の発展には欠かすことができないエンジン。それだけに、注目が集まっている。私はこれまで工作機械業界の周辺で仕事をしてきただけに、TOBの結果を注目している。半世紀ほど前に牧野フライスの創業者、牧野常造氏にお目にかかる機会があり、その温厚な笑顔と話しぶりが今も忘れられない。

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