景気の先行きにきびしい見通しを示す鋼材流通加工業界【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.242(2024年7月25日配信)からの転載になります。

 

 

大板材加工用のファイバーレーザマシンの導入事例を取材するために、鋼材流通加工業界を回りましたが、いずれのお客さまも景気の先行きにきびしい見通しを持たれているのがわかりました。

 

もともと鋼材流通加工業界の主要な需要先は、鉄骨建築業界が売上全体の4割弱を占めています。続いて建設機械・産業機械業界ですが、建機も産機も昨年後半から受注が下振れしており、鋼材流通加工業界では前年同期比で2割前後の受注落ち込みとなっています。

 

鉄骨建築業界向けは先行きが見えないこともあって、足もとを含めて秋口以降に関してもきびしい見方をしています。大都市の再開発事業をはじめ、マンションなど住居系案件などの工事案件はあるにもかかわらず、建設現場の作業員のほか、エレベーターなど設備関連の施工事業者でも人手が足りず、工事が進んでいないといわれています。さらに建築資材・人件費の高騰によって工事価格も高騰し、施主が計画を断念したり、凍結したりすることも起きています。

 

 

 

この結果、鉄骨造のビルやマンションで柱や梁として使われるH形鋼の6月の出荷量は6万900トンと、2022年1月以来約2年半ぶりの低水準となっています。こうした環境の変化に対応して、鋼材流通加工業界では鋼材在庫水準が上昇する傾向があり、また一方で業界再編が進んでいます。

 

「鉄は産業のコメ」と言われてきました。労働人口が大きく減少する中で日本の製造業の将来を予測する意味でも、鋼材流通加工業界の動向からは目が離せないと感じました。