「都市型板金工場」が集積する都内城東地区【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.211(2023年5月31日配信)からの転載になります。

 

 

先日、都内城東地区にある板金工場の経営者の方々とお話をする機会があった。

 

城東地区には台東・墨田・江東・荒川・足立・葛飾・江戸川の各区が含まれ、都内にある製造業に関わる事業所の40.5%が集積している。その多くが従業員9名以下の小規模事業者といわれ、お目にかかった板金工場のみなさまも従業員数20名以下が大半だった。

 

昭和30年代に創業した企業が多く、お目にかかった経営者は2代目・3代目の方が多かった。以前は建築金物・照明器具・店舗什器関連の仕事を手がけている企業が大半だったが、最近は半導体製造装置・電子機器・通信機器・医療機器・食品機械など幅広い仕事に携わる企業も多くなっている。

 

そんなみなさんが喫緊の経営課題として話していたのが、①鋼材をはじめとした原材料価格の高騰、②電気料金をはじめとしたエネルギー価格の上昇、③人手不足と賃上げ ― である。

 

このうち①と②は「発注元と交渉して一定程度の価格転嫁を認めてもらえたが、賃上げによる人件費の上昇分は『自助努力で対応してください』と言われ、交渉には応じてもらえなかった」という。「賃上げはきびしかったが、ここでやらなければますます人手が集まらないと考え、金額ベースで平均1万円の賃上げを実施した」と語る経営者もいた。

 

都内の小規模事業者は1990年の4万7,317社から2018年には9,865社と1/5にまで減り、雇用する従業員数も72万2,261名から21万5,114名と7割減となった。特に休廃業する企業が増えている。それだけに70代の経営者は今後の事業承継に腐心されていた。

 

その一方で、へら絞り加工と溶接板金加工の複合化で事業を行う工場経営者は、テレビドラマ「下町ロケット」のモデル工場にもなった大田区内のへら絞り工場で修業した後、先代が創業したへら絞り加工工場に入社。溶接板金加工の技術を組み合わせることで差別化し、事業を発展させている。城東地区には、こうした企業がたくさん残っている。

 

小誌6月号のインタビューで、日本大学生産工学部の高橋進特任教授は「新興国も最新設備を導入することで日本品質の70~80%のレベルにはすぐ追い付くようになった。日本の中小製造企業は、彼らに追い越されないためにも『アイデア』『使いこなす技術』『すり合わせ技術』を三位一体で磨かなければいけない」と指摘されている。

 

城東地区には特徴ある技術を備えた「山椒は小粒でもぴりりと辛い」企業がまだまだある。そうした企業がそれぞれの技術とアイデアを擦り合わせることで、新しい製品開発ができる可能性は高い。

 

経営者の方々とお話ししていると脇道にそれることもあったが、夢のある楽しい話題で盛り上がった。