※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.172(2021年11月26日配信)からの転載になります。
最近訪問したお客さま数社で、社員のモチベーションが話題となりました。
訪問した企業は仕事も忙しく、最新設備も積極的に導入し、「得意先から必要とされるサプライヤーを目指す」という目標を掲げている点で共通していました。
各社が経営課題として指摘されていたのが、「人手不足」と「社員のモチベーションアップ」。
特に後者は、社員満足度を向上させるためにも重要な課題で、各社とも表現する言葉は異なるものの「社員が夢を持てる企業を目指す」というテーマを掲げておられました。そのために処遇や労働環境の改善、OJT中心の社員教育にも積極的に取り組まれています。
ところが、すべての社員ではないということでしたが、「今の処遇で満足している。『給料を上げるかわりに責任を持て』というなら、給料は据え置きで良いので、今の条件のまま働きたい」という社員が少なからずいる。働くことの目的や何のために働くのかも明確ではなく、「日々つつがなく過ごすことができれば、趣味や好きなことをやっていたい」と考える若者が増えている ― と指摘する経営者もおられました。
その一方で、地域の町工場の仲間たちと交流を深め、「楽しく仕事をしよう」と社員たちから募集したテーマで作品を製作。その経過を撮影してYouTubeに投稿し、動画を見て反応してくれた人たちも仲間にする。「その取り組みのメンバーに引きこもりがちだった社員を加えたことで、モチベーションアップになった」と話す経営者もおられました。
リーマンショック後、日本経済は長期的なデフレ経済に陥りました。政府はデフレから脱却するため、ゼロ金利政策を続け、景気を刺激することで物価と賃金の上昇を実現し、個人消費を拡大させ、景気を好循環サイクルへ移行させようとしてきました。しかし、物価上昇は目標に届かず、賃金上昇も緩やかに進み、個人消費が伸び悩むという負の連鎖に陥っています。
結果的に、ほどほどの給料で、ほどほどの生活ができるなら、時間外労働をがんばったり、責任ある役職についたりして給料を上げてもらうよりも、指示された仕事だけする「指示待ちスタイル」が若い世代に拡がってしまったのかもしれません。お金への欲を失うとともに、恋愛への欲もなくし恋人もいない ― いわゆる「草食系」の若者が増えているようです。以前は、異性にもてたいがため就職してすぐにローンで自分の車を持つ若者もいましたが、今ではそれもなくなったようです。
欲や向上心を失った社員ばかりが増えると、企業成長も止まってしまう心配があります。若い社員のモチベーションアップをどのように考えていけば良いのか、経営者には課題が山積みになっています。