※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.2(2014年12月24日配信)からの転載になります。
早いもので今年も残すところわずかとなりました。
年末の総選挙で自民・公明の政府与党が大勝。この結果を受けて安倍内閣は2年にわたって続けてきた経済政策――アベノミクスをこれからも粛々と実行していくとしています。
今年下期の設備投資の下支えとなった「ものづくり補助金」や「設備投資促進税制」などの景気対策は、引き続き来年度も実施されることが早々と発表されました。
アベノミクスの経済効果が、地方や中小企業、低所得者層には反映されず、逆にこうしたところが円安などの厳しい経済環境によって困窮を迫られていることがマスコミで報道される中、安倍内閣も地方経済や中小企業を活性化させ、社員の給料を上げられる収益改善を目指そうとしています。
しかし、2極化が進む産業界で、各種補助金などによって本来であれば淘汰されても致し方ない企業が一息つき、存続してしまうことは、日本の産業競争力強化という観点では問題です。
アメリカの大学ではありませんが、入学は自由平等でも、努力したものとそうでないものとが一緒に卒業することはできません。当然トップからドン尻までの順位がつくわけで、ドン尻になった企業までも救済するというのでは、自由競争ではなくなってしまう。それだけに補助金や優遇税制だけで成長戦略を考えるには無理があります。
昨年の「ものづくり補助金」も、申請が認可され、交付された補助金を頭金にして設備を導入した企業の中には、想定していた仕事が受注できなかったので宝の持ち腐れ、頭金が出ても残りは自己資金、償却が負担になっている――と語る企業も出てきています。自己責任といってしまえばそれまでですが、補助金だけで企業を活性化させようとしても、仕事がなければ実も蓋もありません。
成長戦略は新たに仕事をつくるところから考えなければ力になりません。そういう意味では、補助金だけでは企業に夢や未来を与えることはできません。今こそ政府は、結果の平等ではなく、あくまで競争原理の中で、企業に夢と未来を与えるべきだと思います。
人はパンのみにて生きるにあらず。今こそ夢と未来のある仕事を創生するビジョンを策定して、日本の強さを世界にPRすべきであると思います。
石川 紀夫(Sheetmetal ましん&そふと 編集主幹)