※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.54(2017年6月30日配信)からの転載になります。
私が生きる上で信条にしているのが天台宗大阿闍梨、酒井雄哉氏の「一日一生」という言葉です。
酒井雄哉氏は、「千日回峰行」という苦行を2度も満行されました。
87歳で亡くなるまで「一日を一生のように生きよ、明日はまた新しい人生」を信条に生きてこられました。
この瞬間の、目の前のものを、ありのままの姿で見なさい。
「いま」「ここ」にあるということ以外に何もない。
今死ぬかもしれない。「過去」は変えられないし、先はわからない。
なるようにしかならない。
死ぬ瞬間まで「いま」「ここ」を大切にしなければならない、と話しておられます。
刹那的にも聞こえますが、比叡山中を1000日間、回峰巡拝することで、7年間に4万キロメートルを歩くといわれる荒行の中で体得された真理だと思います。
言葉で言えば簡単ですが、「いま」「ここ」にいるということ以外に何もないと自覚するまでには、大変な努力がいると思います。
凡人は「過去」は変えられなくても「先」をこうしたい、こうありたい、と願う気持ち ― 希望が活力になっていくと信じたい。
しかし、そのためにはこの瞬間の人生をしっかりと生きていかないと先へはつながらない。
その意味では「一日一生」なのだと感じてきました。
メディアの世界で40数年を生きて来て、今そのことを痛感するようになっています。
毎年お会いする方は数百人にもなります。
人生は栄枯盛衰 ― 良い時もあれば悪い時もあります。
たまたま出会ったのが昇り調子の時であれば相手の受ける印象も素晴らしいでしょうが、落ち目の時に出会えばインパクトは薄くなります。
それがきっかけで縁が薄くなってしまった方もたくさんいます。
だからこそ「一期一会」を考え、「いま」「ここ」を大切にしなければいけないと思います。
板金業界も今はフォローの風が吹き、お客さまの顔色も良いですが、フォローの風がいつまで続くかはわかりません。
山あれば谷ありです。
その意味で、事業活動も「いま」「この仕事」を大切にして、そこに全力を尽くすことが大切です。
得意先が何十社、何百社を超えるお客さまも多いと思いますが、「いま」の「この仕事」を大切に、Q,C,Dを満足しなければいけません。
「いま」「この仕事」を大切にしなければ明日は来ない、くらいの考えでいないといけないと思います。
ビジネスという長い道のりを生きていくためにも「いま」が重要。
その意味で、生き方も仕事も「いま」「ここ」を大切にした「一日一生」が大切だと考えます。