※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.259(2025年3月27日配信)からの転載になります。
たびたび紹介している長野・善光寺の創建当初からその歴史をともにしてきた尼僧寺院で、代々の大本願住職、尼公上人が善光寺上人として、その伝統を継承している善光寺大本願が毎月更新する「今月のことば」を、私は楽しみにするとともに、日々の生活の信条の糧ともしてもいる。
3月の言葉は、「仲がいいというのは、喧嘩しないということではなく、喧嘩しても仲直りできること」。当たり前のことではあるが、実社会の中では喧嘩しても仲直りできるというケースは意外に少ない。特にこれを企業間の提携や連携に当てはめて考えると、蜜月で仲が良いと思っていた企業同士の提携が簡単に破談になる場合が多いようだ。
昨年12月から統合協議を重ねてきたホンダと日産も、わずか1カ月半で破談となった。巨額の債務を抱える日産に対し、ホンダからの「子会社化」提案について、日産側が強い反発を示したことが理由といわれている。中国・北米市場での販売不振やEV事業の伸び悩みから、日産の業績は低迷。9,000人規模の人員削減計画、工場閉鎖などが検討されているものの、具体化が遅れており、日産の経営再建はきびしい局面をむかえているようだ。発表当時は驚くとともに、トヨタ一強にくさびを打つ英断と期待したが、あっけなかった。関係修復のチャンスもあったのだろうが、日産のプライドが妨げになったようだ。
事業承継問題が関係した企業連携話が、板金業界でも多々聞かれるようになっているが、具体化までには課題が多いという。社長同士がゴルフ仲間や飲み仲間で、気心が知れた友達同士と見られていても、企業連携にまで話が進むと、日産と同じように相互のプライドが妨げになって、最後は互いを非難し、友人関係も断絶してしまった実例も耳にする。
ますますきびしさを増す経営環境の中では、喧嘩しても仲直りできる仲間づくりが必要になっている。「仲がいいというのは、喧嘩しないということではなく、喧嘩しても仲直りできること」という言葉をあらためて考えてほしいと思う。