台湾企業との“競争”から“協創”の時代に【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.102(2019年3月30日配信)からの転載になります。

 

半年ぶりに台湾板金業界の取材に行ってきました。

 

今回は高雄・台南・台中のお客さま4社を巡りましたが、みなさま、事前の予想以上に元気で、工場増設や最新設備の導入意欲も高く、ベンディングロボット、自動金型交換装置付きベンディングマシン、ファイバーレーザ複合マシン、ファイバーレーザ溶接ロボットなどをすでに導入しているか、直近で導入を計画していました。

 

「米中貿易摩擦の影響はある」と話しておられましたが、それは一過性で、今年後半には景気は良くなると予測していました。

米中貿易摩擦よってチャイナリスクが増したとして、大陸に製造拠点を移転していた台湾企業が台湾国内に回帰する「リショアリング」の動きも目立っているようです。

 

また、台湾国内ではIoTを活用し、環境負荷を低減するスマートシティを計画する動きが目立っており、電動オートバイ、レンタルサイクルUbike(ユーバイク)の活用が増えています。

そのため、電動オートバイ用の充電ステーション、Ubike専用の端末、様々な日用品や飲料・食品を電子マネーで購入することができる自動販売機、KIOSK(キオスク)端末などの設置が進んでおり、新たな板金需要が生まれています。

また、日本でも最近増えている宅配ボックスがMRT(地下鉄)の駅構内に多数設置され始めており、ここでも板金需要が生まれています。

 

米中貿易摩擦の影響もあって、急速に需要が落ち込んだ半導体・FPD関連のビジネスも「今年後半からは復活する」との見方が業界内では一般的で、クリーンルームを新たに設置して精密機器の組立に対応する板金工場も現れています。

 

訪問した4社はすべてワンストップ加工に対応する設備を備えており、設計~加工~組立~塗装までの一貫生産に対応する能力を備えていました。

従業員規模も80名から300名となっており、年商規模は7億円から30億円と大規模化しています。

最近、日本でも発注元の“受け皿”になるためには、ワンストップ加工に対応できること、年商規模20億円を超えることがトレンドとなってきており、台湾でも同様の傾向が顕著になっていました。

 

また、どの企業も創業年が1995年前後で、社歴が20年前後と若いのも特徴のひとつ。

50代の董事長や総経理が大半で、事業承継を意識して子どもたちをアメリカや日本の大学に留学させて専門教育を受けさせるとともに、英語・日本語などを学び、海外とのビジネスにも支障なく対応できる能力を身につけさせようとしています。

 

企業を取り巻く環境変化への対応をポジティブシンキングで考え、エネルギッシュに、アクティブに対応する彼らと会話していると、こちらまで元気をもらうことができました。

台湾企業をライバルとしてみることよりも、彼らと協力することを考える時期にきていることを改めて強く意識しました。

 

“競争”から“協創”を考える時だと思います。