人手不足で困らない会社【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.188(2022年6月29日配信)からの転載になります。

 

人手不足と言われて久しいが、先日訪問した大阪府内の板金工場では「人手不足を経験したことがない」という。

 

同社は3年前に700坪の土地に新工場を建設し、それにともない昨年、求人サイト「リクナビ」で求人募集を行った。行政の補助もあり、投資額は80万円。2カ月の掲載期間中の応募者総数は百数十名におよんだ。結果として、20代の若手社員を中心に10名の社員を採用した。リクナビの担当者もそこまでの応募があるとは予想していなかったようで、驚いていたという。

 

コロナ禍のさなかで求職者が多かったことを差し引いても、なぜ板金工場の募集に多数の応募者が集まったのか。その答えは同社の雇用条件や労働環境にあった。

 

同社は今回の求人募集の前に、人事制度や採用条件を思い切って改定した。これまでは基本給をおさえるため「固定残業代」を切り分けて設定していたが、基本給を「固定残業代込み」に変更することで、一律に基本給を大幅に上げた。その結果、同社の基本給は同業者と比較しても高い部類になった。

 

また、残業したい社員、残業したくない社員を希望者ごとに区分け、残業を希望する社員には土曜日の休出もお願いするなど、働き方改革で容認される上限まで、時間外労働を社員自身が選択できるようにした。

 

女性社員の割合も増えた。そのために設備も、女性が操作しやすい最新の設備・機器を用意した。ハンディタイプのファイバーレーザ溶接機は、入社して間もない女性社員が操作している。3次元CADのオペレータにも女性社員を登用した。入社早々にアマダスクールで操作教育を受けてもらった。

 

新しい工場に足を踏み入れると、入社して間もない社員がベテラン社員に交じって働く姿を見ることができる。同社を訪れた応募者は、こうした会社の雰囲気を目のあたりにして、「自分もこの会社で働きたい」と感じるようになるという。

 

採用面接は現場の社員が担当する。自分たちの仕事に必要な人材は自分たちが面接して選ぶ仕組みになっている。自分が選んだ社員の面倒は必ず見るので、サポート体制も十分だ。

 

こうしたことが相まって、同社はいつの間にか人手不足で困らない会社になった。

 

このほかにも、求人で困ったことがないという板金工場はある。すべからく何事も経営者の決断にかかっている。