伴走支援型融資 ― ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)【メルマガ連携】

 ※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.261(2025年4月24日配信)からの転載になります。

  

 

読者のみなさんは企業活動が環境・社会・経済に対して与えるインパクト(ポジティブな影響、ネガティブな影響)の包括的な分析・評価、サステナビリティに関する目標設定とモニタリング、および資金供給を通じ、企業の「社会的価値」「働き手の幸せ」「経済的価値」を総合的かつ持続的に高めていくことを企図した伴走支援型融資 ― 「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」(PIF)があることをご存じだろうか。

 

私はこうした伴走支援型の融資制度があることを知らず、北海道のお客さま取材におうかがいして、同社が商工中金のサポートでPIFによる総額1億2,000万円の融資を受けたことを知りました。

 

同社は今年で創業74年となる、道内でも老舗の板金企業。物流・搬送装置の制御盤・分電盤などの筐体板金や家具用金物などの製造を手がけており、イタリアの家具メーカー向けの仕事もされ、グローバルな視野で事業展開を計画、「想像力と創造力を高める」ことを経営目標に掲げています。

 

最新鋭の設備導入による材料歩留りの向上、CO2排出量の削減に向けた取り組みなどを通じて、いっそうの成長をはかるため、サステナビリティに関するKPI(重要業績評価指標)を設定、目標達成に向けたプロセスを評価する取り組みを通じて、経営の持続可能性を高め、経済的価値の向上のみならず、社会的価値の向上や従業員の幸せを実現していこうとしています。

 

こうした取り組みを第三者機関が評価して今回の支援融資が決定されたということです。商工中金は、同社の強みと課題、そして目標(KPI)を共有。同社の企業価値向上のために必要な資金をPIFで融資するとともに、目標達成に向けた取り組みをサポートし、伴走支援を行うということでした。

 

サステナビリティを推進することで、企業価値を高める取り組みが板金業界で始まっていることに率直に驚くとともに、経営者の変化のスピードに追いつくのも大変になってきたと感じるとともに、少なからずこうした経営者にお会いすることでパワーをいただくことができました。