※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.235(2024年4月25日配信)からの転載になります。
板金業界の主要なお客さまである工作機械業界の方々と懇談する機会があり、機械カバーのものづくりに関していろいろなご意見をうかがいました。
日本工作機械工業会の発表によると、2024年3月の受注総額は前月比で+18.8%、前年同月比で▲3.8%の1,356.5億円で、昨年の9月以来6カ月ぶりに1,300億円を上まわりました。
内需は492.6億円で、前月比+51.4%と大きく増加し、前年同月比も▲0.2%と、1年前の実績に迫る受注水準となりました。年度末となり、決定が先送りされていた多くの案件が成約し、受注額を大きく押し上げたものとみられています。
外需は前月比+5.8%、前年同月比▲5.7%の863.9億円となりました。3カ月ぶりに850億円を上まわり、堅調な受注水準が続いています。
1~3月期の四半期ベースで見ると、受注総額は前期比+1.6%、前年同期比▲8.5%の3,608億円と伸びが今ひとつで、大きく改善に向けて踏み出したとはいえない状況とみています。しかし、半導体製造装置業界では先行投資の一部で受注が上向く傾向も出始めています。自動車についても、年後半の本格回復に向け、徐々に具体的な動きが表れており、年央からの工作機械受注の回復を期待する声が大きくなっています。
こうした背景を踏まえて工作機械メーカーからは、「板金サプライヤーの休廃業が増え、サプライヤーの確保に苦労している」「3次元データで依頼したいが、2次元の図面を要望され、3次元化の効果が得られず、工数が増えている」「全周溶接を指示していたにもかかわらず、点付け溶接で納品された」「曲げ加工に関してはサプライヤーごとに曲げRが異なるので困る」「材料価格・燃料代・電気代などランニングコストの上昇で単価改定への要望が強い」などの話をうかがいました。
機械カバーの調達コストが製造原価に占める割合は、メーカー・機種によってバラツキがあるものの5~10%となっていました。客先対応のカスタマイズで設計変更が頻発しており、サプライヤーとしてはロットがまとまらないので手間がかかるうえ、原材料・電気代・人件費上昇の中で受注単価の改定を依頼するものの、要求どおりに交渉がまとまらないので機械カバー製作の仕事を断るケースも見られており、相互の事情で仕事が円滑に進まないこともあるようです。仕事を発注する側と受注する側のコミュニケーション不足も感じました。
これから受注が伸びる可能性が大きいだけに、相互の付加価値を最大化できるような取り組みに期待したい。