成長戦略に欠かせない国土強靭化事業【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.60(2017年8月31日配信)からの転載になります。

 

異常気象が世界的に発生、気温が摂氏50度を超える灼熱地獄となった地域もある。

 

日本も例外ではなく、空梅雨かと思ったのもつかの間、ゲリラ豪雨が各地を襲い、土砂災害や洪水被害で命を落とされる方も出ている。

盆明け後も不安定な天候が続き、午前中は晴れていたかと思うと午後からは天候が急変、道路1本隔てると晴れているのにこちらは豪雨というような局地的な大雨がたびたびあった。

 

二酸化炭素の排出による地球温暖化は着実に進んでいる。

このまま温暖化が進めば、南極や北極の氷が溶け出して海面が上昇、水面下に沈む島々や沿岸部地域では深刻な状況になると、予測されている。

しかし、地球温暖化を改善するための「パリ協定」から、排出ガスと地球温暖化の因果関係が明確になっていないことを理由に離脱を表明したアメリカをはじめ、各国とも明確な対策を講じることが難しい状況にある。

 

天候不順による稲作をはじめとした農作物への影響も大きく、秋野菜、冬野菜も天候に左右されてなかなか準備が進まない地域もあるようだ。

 

天候不順が続く中で、国内景気は4~6月期のGDPが年率換算4.0%増と、6四半期連続プラス成長となった。

6四半期連続のプラス成長は、リーマンショック前の2005年1~3月期から2006年4~6月期までと並ぶ長さで、このまま緩やかに回復が続けば「いざなぎ景気」を超える可能性も出ている。

 

輸出はマイナスになったものの、昨秋に成立した補正予算効果で、公共投資が5.1%増と高い伸びを示したことが、大きな要因として考えられる。

学校校舎の耐震化などの国土強靭化事業などが各地で行われた結果とみられる。

 

税収を補う赤字国債の発行によって国の借金はすでに1,070兆円、国民1人あたり840万円以上の借金を抱えていることになる。

時の政権は予算編成に当たって税収などの歳入と過去の借入に対する元利払いを除いた歳出の差、いわゆるプライマリーバランスの改善を図ることを政策の前面に掲げるものの、景気を支え、時にはカンフル剤を打つために公共事業の大盤振る舞いが避けられない。

 

戦後72年を経て、日本の社会インフラも大半が設置後50年以上経過、大規模修繕や建て替えが必要となっている。

2027年に東京-名古屋間での開業が予定されているリニア中央新幹線の建設に着工、新たな高速鉄道インフラ建設が始まっている一方で、JR東海は開業後50年が経過した東海道新幹線の補修費用に年間300億円以上を投入、その金額は毎年増加する傾向となっている。

その意味で公共投資が中心となる社会インフラの整備・保守事業は、景気を支えるための大きなバックグラウンドとなっている。

 

その意味では、不謹慎かもしれないが、大規模災害からの復旧・復興事業も景気対策には必要となる。

今後人口減少が加速する日本を支えるためには、公共投資も大きな要素と言える。日本経済の成長戦略には国土強靭化が欠かせない。

経営者はゴールを見失うな

今年も異常気象が続いています。

 

空梅雨で終わったかと思えば、南から湿った空気が流れ込み、寒気とぶつかって大気が不安定になり、いわゆるゲリラ豪雨が全国的に発生。土砂災害警戒情報が毎日何処かで発表されるような日々が続きました。

 

さらに過去3番目の長寿台風となった5号は、ゆっくりとしたスピードで列島を縦断。豪雨による被害を全国にもたらしました。

今年は偏西風の風向きが変わり、日本海の海水温度が平年よりも2~3度上昇したことも、長寿台風となった要因のようです。

 

私も神戸からの復路の新幹線が静岡県内で豪雨の影響で止まり、車中で30分ほど足止めをくいました。

異常気象は日常生活にも様々に影響を与えています。

 

政府が発表した7月の景気ウォッチャー調査(街角景気)では、状況判断DIは先月比で低下して49.7となり、基準値の50.0を割り込みました。

低下の要因は、九州を中心とした豪雨による水害、土砂による被災が挙げられていました。

さらに夏のレジャーにも影響が出て、海外からの訪日外国人は増加しているにもかかわらず、日本人の旅行がいまひとつ盛り上がりに欠けているといいます。

 

ところで、板金業界の景況感は地域・業種などによって様々です。

好調な自動車産業の地元、中部地区では“超多忙”というサプライヤーが多い反面、関西へ行くと「繁忙感は少ない。東京五輪関連の仕事も名古屋止まり。関西までは流れてこない」と弱気な経営者が目立ちます。

 

ところが、経済産業省が先ごろ発表した全国の都道府県がこの5年間(2010~2015年)の鉱工業生産指数の変化にどれだけ貢献したのか(日本の鉱工業をどれだけ盛り上げたのか)まとめた資料によると、愛知県・三重県・石川県・福井県といった中部地方西部と近畿地方の京都・大阪の2府はプラス寄与が大きくなっています。

このことが板金需要と直接結びつくかわかりませんが、中部から東で仕事が多く、西日本の仕事は少ない、という理由はあまり当てはまらないと思います。

 

やはり経営者が社内外に示す企業のビジョン、ミッション、バリュー ― “企業理念”がしっかり社員やお客さまに伝わらなければ信頼がともなわず、業績回復が遅れる気がします。

経営者のリーダーシップが問われていると思います。

 

ビジネス書などを読むと「経営者はゴールを見失ってはいけない」という言葉が書かれています。

特に経営者がプレーヤーを兼務しなければいけない中小企業では、このことが重要だと思います。

 

プレーヤーはどうしても試合を組み立てるプロセス重視になりがちです。

しかし、ゴールへシュートを叩き込まなければ勝利の女神は微笑んでくれません。

経営者は常にゴールを見失わず、攻めるべきです。

その意味で好調業種、企業を攻めまくることが大切だと思います。

 

最近お会いした若手経営者の中には、ポスト五輪のことも考え、戦後70年が経過して老朽化が目立つ社会インフラ関連産業・企業に的を絞った営業活動を進めようと活動する方も目立ってきました。

チャンスはまだまだあります。

経営者のマインド、企業理念が大切だと思います。