※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.205(2023年2月24日配信)からの転載になります。
先日、業界関係者の会合で、経営者のみなさまと話をする機会がありました。
その際に話題となったのが、たび重なる電気料金の値上げです。多くの経営者がコロナ禍以前の2019年比で「2倍ちかい値上げになっている」と話をされていました。
30名規模の企業では、ブランク系マシンが24時間稼働していることもあって、毎月の電気料金が数百万円、年間では5,000万円以上にもなっており、コストに占める割合は材料費に次いで高くなっていると話されていました。料金がかさむので、自家消費型の太陽光発電所を設置することも計画したのですが、土日の余剰電力を売電しようと電力会社に相談したところ、「すでに送電能力が目いっぱいで、新たに再エネの電力を買い取ることは困難」と断られたそうです。「それならば」と余剰電力を蓄電池に貯めて使用できるようにするための設備投資額を試算したところ、太陽光発電所の設置工事費用とほぼ同額の投資が別途必要になることがわかり、「計画は凍結した」と話していました。
帝国データバンクが昨年12月に実施したアンケート調査で、電気料金の総額が1年前と比較してどのように変化したか尋ねたところ、「【増加】20~40%未満」(34.4%)が最も多く、「【増加】20%未満」(30.0%)、「【増加】40~60%未満」(12.4%)と続きました。電気料金が「増加した」企業の合計は86.6%で前年より増加しており、電気料金の総額は1年前よりも平均28.7%増の、約1.3倍となっていました。
回答企業からは「電気料金は昨対比150%程度と高騰している」といった声も寄せられています。電気料金の大部分は得意先の仕事に対応するものであり、サービス品質維持のためにも電気使用量を大幅に減らすことは「考えていない」という回答が多く見られました。多くの企業からは、社内利用分の電力を削減することで「電気料金を昨対比140%程度に抑えたい」といった意見が寄せられていたようです。
会合でお目にかかった経営者の多くが「材料費などはある程度の価格転嫁を認めていただけるが、加工費に含まれる電気・石油・ガスなどの価格転嫁はなかなか認めていただけない」と実態を話されていました。「家庭用の電気料金は国も補助金による補填をしていますが、中小企業向けにも同様の措置を講じてもらいたい」という要望も聞かれました。
3月以降には電気料金のさらなる値上げが見込まれており、中小企業にとってはボディーブローのように利いていきます。総合的な中小企業向けエネルギー対策が求められています。