コロナ禍が働き方改革を加速する【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.163(2021年7月29日配信)からの転載になります。

 

コロナ禍により働き方改革が加速し、IT系・外資系企業を中心に、テレワークが浸透しています。それにともなってオフィスでは「フリーアドレス」(自席を持たず好きな席で働くワークスタイル)が普及し、ペーパーレス化が進み、Web会議を行う機会も増えています。

 

昨年6月からテレワークを行っている若い知人に話を聞くと、今では出社するのは月に1、2度。会社の同僚とはWeb会議をする一方で、プライベートでは感染対策をしながらテニスやゴルフで交流を続けています。アフター5は打ちっぱなしやスポーツジムに出かけて汗を流し、その結果、以前に比べて体力がついていると話していました。

 

それまでは帰宅するのが毎晩10時過ぎで、家族との会話 ― 特に子どもたちとの会話がほとんどありませんでしたが、今は家族で夕食をとるのが当たり前になりました。子どもの生活パターンを知ることにもなり、家族が陰で支えてくれている姿などを垣間見ることで、家族の絆をより強く感じるようになったと話していました。

 

板金企業の中には、始業時間を午前6時、終業時間を15時にすることによって、生産性が大きく向上し、残業や休出がなくなり、社員の定着率も改善している事例が出てきました。

 

2時間残業しても17時には退社でき、一日が充実するようです。半休を取ると10時以降が自由時間になるので、丸一日休んだ感じになるといいます。明るいうちに帰宅して釣りに出かけたり、近くのゴルフ場でハーフをまわったりと、社員たちも余暇の時間を有効に使っています。

 

この企業の経営者は「世の中が“朝型”に切り替われば夜遅くまで飲み会をすることもなくなり、国民全体が健康的になる」と言います。欧州 ― 特にドイツでは、サマータイムの時期には始業時間が6時という企業も多く、帰宅後にトラクターなどを駆使して兼業農家となっている人もいます。

 

この板金企業はサマータイムを採り入れているわけではないので、日が短い冬場には真っ暗なうちに出社することになりますが、「慣れてしまえば大きな障害ではありません。ただし、マイカー通勤の割合が高いことが条件です」とのことです。

 

この経営者は、以前生産コンサルタントをしていた関係で、いろいろな企業で社員の生産性を測定したことがあるそうです。その結果、午後 ― 特に昼食後から15時頃までは生産性が大きく落ちる傾向があることを経験的に把握しており、“朝型”の方が生産性は上がると考えていました。

 

こうした企業はまだ多くありませんが、働き方改革が進めば製造業でも始業時間・就業時間を繰り上げる企業も増えてくると考えられます。働き方改革の裾野が広がってきています。