EuroBLECH 2018開催 ― テーマは「Step into the digital reality」【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.91(2018年10月31日配信)からの転載になります。 

 

10月23日から26日までの4日間、ドイツ・ハノーバー見本市会場で、世界40カ国から1,507社が出展した世界最大の板金機械見本市「EuroBLECH 2018」(第25回国際板金加工技術展)が開催された。

 

今回のテーマは「Step into the digital reality」(デジタルから現実へのステップ)。

IoT技術を活用したモノづくりのデジタル化がトレンドとなった前回(2016年)は、“Connecting”(つながる)がキーワードだった。

加工機械の稼働状況を把握して予知・予防保全を行うことで「止めない、止まらない」ことが大きなテーマだった。

 

今回は、そうしたトレンドに加え、受注の変動に対応してスケジュールを柔軟に組み替え、必要な製品を必要な時に必要な数だけ生産・出荷するJIT生産に対応する生産管理システムが付加された。

そのためにICタグを活用して加工に必要な金型・製品・仕掛り品の位置や状態を確認できる測位システムなども出展され、モノづくりプロセスをリアルタイムに“見える化”するシステムが目立っていた。

 

また、VR技術を活用したシステム――モノづくりに携わるライン・工場スタッフの教育・研修の効率化、VRモックアップによるコストの削減、製造ラインの改良や見直し、遠隔地の製造現場・保守点検作業の際の現場支援などに活用するシステムの出展も目立っていた。

 

さらに、曲げ加工の自動化に対応する曲げロボットが多数出展された。

加えて、形鋼加工に対応するチューブ・パイプ加工用のレーザ加工機の出展が多くなったのも大きな特徴だった。

 

レーザ加工機に関しては、CO2レーザ発振器を搭載した加工機の出展が皆無で、出展されたレーザ加工機の大半がファイバーレーザ発振器、またはディスクレーザ発振器を搭載しており、ガスレーザから固体レーザへのシフトが鮮明になった。

 

また、それらの発振器の出力は3kWから15kWと高出力化。

最大80㎜の厚板の切断サンプルを出展するメーカーも現れ、薄板から厚板までの加工範囲に対応する切断性能を競っていた。

ただ、こうした高出力なファイバーレーザ発振器としてはIPGフォトニクスの製品が多く、出展機のほぼ75%はIPG製の発振器を搭載していた。

そのため差別化が難しく、各社のセールスポイントが何なのか、はっきりとはしていなかった。

 

そうした中で、プロセスファイバーから発信されたビームの波形を制御することで材質・板厚に応じた最適な性質を備えたビームに制御する、光コントロールが大きなポイントになってきた。

切断においてビームを刃先に例えれば、どこまでシャープな切れ味を出すことができるのかが重要なことは自明であり、レーザ加工機も高出力化の競争からビームを制御、いかに切れ味の良い良質なビーム品質が得られるか、という競争の時代に入ったといえる。

 

板金加工技術の動向を探査するうえで欠かせないEuroBLECH 2018の詳細は小誌12月号でレポートします。

ご期待ください。