危機に対応した対応力を備える

10月13日の株式市場で日経平均が2万1,000円と21年ぶりに2万1,000円超の値をつけた。

市場では年末に向けて2万3,000円台もあるという強気な予測も出ている。

 

その一方で、10月12日には国際通貨基金(IMF)が2017年の経済成長見通しを発表。

世界経済は3.6%成長と、4月時点の発表から0.1ポイント上方修正した。

日本も、設備投資や外需が拡大しているという判断から、4月時点に比べて0.2%上方修正して1.5%とした。

2018年も引き続き経済成長は緩やかに成長していくことから、3.7%へ上昇すると予想している。

 

マクロ的にもミクロ的にも経済環境は明るい兆しがあります。

 

しかし、忘れてはならないのは1996年12月、日経平均が2万943円の高値をつけた。

しかし、1997年11月には北海道拓殖銀行が経営破綻、そして1週間後には野村・大和・日興とともに4大証券会社の一つだった山一證券が破綻した。

さらに翌年の1988年には日本長期信用銀行(長銀)、日本債券信用銀行(債銀)が相次いで破綻した。

これによって「失われた20年」と言われる冬の時代が始まった。

 

危機は思わぬときにやってくる。

そのことを考えると、私たちは20年前の経験に学ばなければならない。

それまで国は「銀行は絶対に潰しません」と明言していたが、そのルールは時代とともに変わった。

 

今のところ危機が差し迫っているというわけではないが、朝鮮半島をめぐる問題がいつ爆発してもおかしくはない。

また、足もとではマイナス金利が長く続いているため、金融機関の収益力は衰えている。金融庁は、2025年3月期には地銀の6割が本業の銀行業務ではマイナスとなる、との試算を発表している。

人口減少も続くので、マイナス金利を継続することはいずれ困難になっていく。

 

10月12日早朝のNHKニュースで、経済産業省は「EVシフト」、あらゆるモノをインターネットで結ぶ「IoT」など、技術革新を目指す動きが広がっていることに対応し、省内に新たに「グローバル産業本部」という組織を設置、日本企業の競争力強化に向けた政策の立案を図るという。

 

工作機械業界でも今、EVシフトに対応して工作機械はどのように対応するのかという調査をはじめようとしている。

EVシフトになれば今の車に使われている3万点余りの部品の、37%は不要になるといわれ、部品点数が一気に1万8,000点ほどに減る。

エンジンが不要となるので、ミッションをはじめ、工作機械で加工していた自動車用部品が不要になるためだ。

 

こうした変化がこれからの5年、10年で確実に起きてくる。

こうした潮目の変化に板金業界はどのように対応するのかを考え、将来へ向けたロードマップをしっかり策定する必要がある。