補助金とともに成長戦略策定を急げ【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.7201541日配信)からの転載になります。 

 

316日から公募が始まった「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」への申し込みが殺到しているという。

 

中でも最新モデルの省エネ機器等の導入支援であるA類型は、旧モデルと比較して年平均1%以上の省エネ性能の向上が確認できる機器等の導入を支援するというもので、補助金総額は800億円程度。

1事業あたりの補助金限度額は50万円から最大15,000万円。

補助率は中小企業の場合は1/2以内、その他は1/3以内となっている。

 

補助金申請を行う「補助事業者」は、補助金交付を決定する「執行団体」(一般社団法人環境共創イニシアチブ)、省エネ性能が証明された機器を提供する「製造メーカー等」との間で申請に必要な書面を作成する。

「製造メーカー等」は、加盟する工業会などの「証明書発行団体」に省エネ性能に関する証明書を発行してもらい、これを申請する書面に添付して申し込むと手続きが完了する。

 

すでに各地で商工会議所や銀行などが補助金申請についての説明会を開催しており、多くの中小製造業が申請の手続きを行おうとしている。

しかし、製造メーカーが加盟する工業会が「証明書発行団体」になっても、手続きに時間を要するため、すぐに証明書が発行されるわけではなく、申請書類は整っているのに証明書が来ないと製造メーカーにクレームを寄せるような事態も起きはじめている。

 

補助金総額が800億円程度に限定されているのと、補助金の限度額が15,000万円と高額なだけに、11億と仮定すると補助金を受けられる企業の枠は800社しかないということになる。

それだけに「早いもの順」という認識が中小企業の経営者側にもあるようだ。

証明書を発行する工業会も職員の数が限られており、処理に時間がかかっているようだ。

 

また、証明書を添付して書類を提出しても実際に採択になるかはわからない。

単純に年間を通して1%以上の省エネ効果だけではなく、それが生産性改善にどれだけ寄与するのかといった視点での訴求も必要だ。

さらに書類には今春のベースアップへの対応を記入することが求められ、決算内容なども記述する必要がある。

 

じゃぶじゃぶと補助金を出すということではなく、補助事業者の業績からベースアップへの積極的な取り組み姿勢など、勝ち組企業でなければ申請しても採択されない構造も見え隠れしている。

 

この補助金は景気対策として安倍政権が平成26年度の補正予算で決めた経済対策であり、景気の好循環サイクルを構築するための呼び水的な色彩が強い。

それだけに企業力のある補助事業者の申請が採択される割合は高い。

 

それにしても円高、省エネ、モノづくり補助金など、ここ数年、政府が製造業界に対して行ってきた経済対策の総額はかなりのものになる。

製造業にとってはありがたい政策だが、お金だけ出すのではなく、どうしたら仕事や雇用機会を増やしていけるのか、さらにこれからの厳しい国際競争の中で、日本の中小製造業の体質を強化するために何をしなければいけないのか。

カンフル剤としてのお金だけでなく、日本の製造業復活の成長戦略を打ち出すことの方が重要な気がする。

 

お金とともに、日本の製造業が元気になり、仕事も雇用も増やせるような成長戦略の策定が待たれる。

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