台湾板金業界と日本の板金業界との連携強化を模索する動きが始まる


台湾の2016年の対中直接投資件数(認可ベース)は323件と、前年比24.4%減少し、金額も11.8%減の96億7,100万ドルとなった。

また、台湾企業の対外直接投資総額に占める中国の構成比も44.4%と5割を切った。

中国の人件費や土地代の上昇により、対中投資のメリットが薄れつつあるとの指摘が出ている。

 

その一方で台湾行政院主計総処(以下、主計総処)が発表した2017年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比2.60%と、4期連続でプラス成長になった。

また、2017年通年の実質GDP成長率も、2月時点の予測値1.92%から2.05%へと上方修正され、台湾経済は緩やかに回復している。

台湾経済にとって依然、中国経済の動向で大きく左右される傾向はあるものの「脱中国」の傾向が、一段と強まっていくものと考えられている。

 

こうした中で昨年来、日本で開催される各種公共展に台湾機械工業同業公会(TAMI)が窓口となって、台湾の中小製造企業が出展するケースが目だって増えている。

台湾機械工業同業公会は1945年10月、台湾鉄工業公会として創立され、現在では2700社余りの会員を有し、台湾機械機器工業界の発展ために調査・研究や展示会などの事業を行っている。

 

6月に東京ビッグサイトで開催された「2017国際食品工業展(FOOMA2017)」、「機械要素技術展2017」では「台湾機械サービスセンター」と連携して、台湾の食品機械関連企業や板金サプライヤーを含めた中小製造企業を集めた、「台湾ブース」を出展した。

 

また、7月に開催された「MF-Tokyo2017プレス・板金・フォーミング展」には協賛団体としてブースを出展すると共に、会員である機械メーカーが数多く出展した。過去の展示会にも台湾企業が出展するケースはあったが、大半は単独で出展していた。

しかし、最近はTAMIが台湾機械サービスセンターと連携、積極的に会員企業に日本開催の公共展への出展を呼びかけ、会場内に一定規模で台湾コーナーを構えて“台湾ブランド”を訴求するケースが増えている。

 

TANIの王正青秘書長は「日台同業間の交流、情報交換、日台機械系企業同士の業務提携の推進、日本企業の台湾企業見学手配など、日台の連携強化を進めていきたい。そのためにも日本の企業に台湾の機械、機器メーカーの技術力や製造力をもっと見てもらいたい」とPRしている。

 

さらに、台湾企業の日本市場でのプレゼンスが高まる中で、鹿児島県は「公益財団法人かごしま産業支援センター」が中心となって、台湾との取引の可能性を探るため、 県内企業による現地企業等との情報交換や工場視察を定期的に実施、すでに参加した中小製造企業と台湾の製造会社が連携する動きが始まっている。

 

昨年秋以降、世界的に半導体需要が好調だ。ミドルエンドからロ-エンドのスマ-トフォン、タブレットPC向けの需要が想定よりも強いこと、車載用の半導需要が伸びていることが大きな要因だ。

 

結果、台湾の半導体ファウンドリの業績が好調で、6月実績では前工程企業のTaiwan Semiconductor Manufacturing社(TSMC)が、対前年比(YOY)+24.3%、対前月比(MOM)+4.3%の540億2800万NTドル、United Microelectronics社(UMC)は、107億613万NTドル(YOY+11.2%、MOM-0.9%)、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)の売上高は166億500万NTドル(同+8.0%、-4.8%)となった。

 

その影響で半導体製造装置業界の生産は前年同期比で5割以上の伸びとなっている。

このため日系製造装置メーカーの中には、増産に対応するためにSCMを見直す中で、日台のサプライヤーが連携して部品供給ができる体制を整備する動きが見られるようになっている。

 

こうしたことから、日台のサプライヤー連携が現実味を帯びてきている。これからは台湾の板金業界では日本の板金業界との連携を模索する動きが顕著になっていくことが予測される。

そのため、台湾板金業界と日本の板金業界との連携を考える上で業界交流を積極的に行うことが求められている。

Sheetmetalブログ トップページへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
コメントの公開は承認制です。ご了承ください。
非公開のダイレクトメッセージも受け付けております。その場合、「非公開希望」とお書き添えください。

Sheetmetalブログ トップページへ