「9の法則」から「2・6・2の法則」を思う【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.19(2016年3月1日配信)からの転載になります。

 

過日、「9の法則」がキーワードのミステリー小説を2日ほどで読み終えました。

 

要約すると、殺害された被害者の身体を硫酸で火傷したような傷跡をつけ、さらに身体の一部には18、27、63という数字が書き残されていた。

残された数字が、やけどの面積を概算する方法として使われる「9の法則」に従って、9の乗数になっているところから、犯人にたどり着く――というストーリーになっていました。

 

人間の体表面積は頭部9%、左上肢9%、右上肢9%、体幹前面18%、後面18%、左下肢18%、右下肢18%、陰部1%というように表現され、手のひらくらいの大きさが1%に相当するといわれています。

大人の場合は、全体の20%以上、小児であれば10%以上、火傷してしまうと命の危険があるということです。

 

小説のストーリーは、犯人の母と、妹が寝ていたビルが放火により火災に遭い、逃げ遅れた2人は消防によって救助されるが、火傷がひどく搬送先の病院で亡くなってしまう。

病院に駆けつけた犯人は自分が現場にいて、火災に気がついていれば家族が被災して亡くなることはなかった、と悔恨する。

そして出火原因を捜索するように警察や消防に依頼するが、火災の原因がはっきりしないままに、いつしか時間が過ぎていってしまう。

 

犯人は自ら火災原因を調べていくうちに、ビルの持ち主と不動産屋が仕組んだ保険金目的の放火であることが分かる。

そこで、犯人は復讐を誓い、彼らを次々と襲い、火傷と見まごう傷跡と、9の乗数を身体に残していく。

被害者の身体に希釈した硫酸をかけ、火傷を負ったような傷跡と数字を書き残したのは、火災原因をつかめぬまま犯人を取り逃がした警察に対しての挑戦状となっていた。

しかし、結末は被害者の身体に残された数字が「9の法則」に従って書かれていることを発見した刑事たちによって、事件が解き明かされ、犯人が検挙される――という筋立です。

 

小説を読み始めて「9の法則」なるものを知り、人間の不可思議を改めて感じました。

火傷や熱傷が体表面積の1/5以上になると生命が危険状態になるという話は、中学生の時に学んだことはありました。

しかし、人の体面積がすべて9の乗数で成り立っていることを初めて知るとともに、医療現場では身体に負った火傷の程度を9の乗数で判定していたことを知りました。

 

ところでなぜ「9の法則」にこだわるかといえば、人間社会にも同じように「2・6・2の法則」があるからです。

これは「パレートの法則」とも呼ばれ、人間が集団を構成すると、「優秀な人が2割、普通の人が6割、パッとしない人が2割」という構成になりやすいという法則です。

集団で何らかの活動をすると、2割の人が率先してリーダーシップを発揮し、6割の人がそのリーダーシップに引っぱられて働き、2割の人が、ボーっとしている――という傾向があるといわれます。

 

最近は優秀な人の割合が減り、普通の人やパッとしない人の割合が増えている気がします。

優秀な人材の数が減り、「普通の人」や「パッとしない人」が増える企業は発展が見込めない、ということになりかねません。

 

中小製造業を取り巻く環境は、ますます厳しさを増しています。

その一方で少子高齢化が進み、2050年には日本の総人口は1億人を切るとも言われています。

 

一方でグローバル化の進展で日本をキャッチアップしようとする諸外国は増加、相対的に日本の国際競争力は低下しています。

さらに日本市場に参入を計画する海外の製造サプライヤーの数が増えており、日本市場をめぐるメガコンペティション(大競争時代)がこれから本格化します。

 

こうした環境を見ると、日本の強さである勤勉さ、思いやりなどのメンタルな部分をさらに磨き上げていくことが重要になると思います。

その意味ではリーダーシップを備えた優秀な人間を増やすことよりも、勤勉なリーダーの指示に従う普通の社員の頭数を増やすことのほうが得策と考える企業人も生まれてくるでしょう。

 

しかし、「革新の積み重ねで伝統が生まれる」という言葉にもあるように、革新(Innovation)を継続しながら企業文化(伝統)をつくり上げていかなければ、企業の発展はないと思います。

革新を行うことができる優秀な人材を企業は必要としています。

 

その人材をどのように集め、教育していくのか。

これからの企業や組織には何が必要か。

 

たまたま読み合わせた推理小説のキーワードからいろいろなことを考えてしまいました。

日々仕事に追われる中で、カタルシスを求めて推理小説を読むようになったのですが、そこから思わぬヒントや課題解決の糸口をもらうことがあります。

今回は「9の法則」から「2・6・2の法則」を連想してしまいました。

 

みなさまの会社ではいかがでしょうか!

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