“Change” ― 水面下で進む日台連携/企業発展はマインド ― “心”で決まる【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.18(2016年2月3日配信)からの転載になります。

 

2月に入り景気はますます混迷を増してきました。

日銀は1月29日の政策会議でマイナス金利というサプライズを発表。

一時的に株価は上昇しましたが、週明け後は一転、反落し、投資家も企業家も先行きを読みきれずに混迷しています。

 

そんな日本から2泊3日という強行軍で半年振りに台湾を訪問し、台北・台南・台中のお客さまを訪問しました。

 

台湾は、このたびの総統選挙で国民党に変わって民進党の蔡英文主席が総統に選出されるとともに、立法委員(国会議員に相当)選挙でも民進党が過半数を占めました。

民進党が総統選挙に勝利したものの、立法院選挙では過半数を取れなかった8年前とはちがい、民進党による政権運営が安定すると思われます。

台湾国民の多くが従来とは異なった政治の変化 ― “Change”を期待していました。

 

そうした中で、4社のお客様を取材しました。

事前情報で台湾のGDP成長率が昨年は1.1%と低成長だったこと、輸出入とも前年比で2ケタの落ち込みとなったことから、仕事量も減って厳しい環境におかれているのではと危惧していました。

 

しかし、驚いたことに4社とも業績は好調。

2社は新工場を竣工したばかりで、ファイバーレーザ複合マシン、ファイバーレーザマシンなどの最新鋭機を導入していました。

1社においては日本でもあまり例がない3台のファイバーレーザマシンを導入していました。

 

好調の大きな要因は、経営者のマインドがポジティブで、自社の製品に誇りを持っていることです。

1社はメーカーだったので当然自社ブランドを持っていますが、サプライヤーであるほかの3社も、納品先へ納めるダンボールやパレットに社名を表記、ダンボールには社名とともに「Made In Taiwan」と大きく印字されていました。

しかも、かなりの割合でそれらのダンボールが日本へ向けて輸出されていました。

 

台湾のお客さまはもともと国内に有力な発注元がないため、海外の市場開拓には熱心。

そのため経営者は子どもたちを海外へ留学させ、外国語やビジネスのハウツーを早くから学ばせ、ネットワークを構築しています。

今回も2社の経営者が長男・長女を日本の大学や語学研修学校に留学させ、日本語を学ばせていました。

 

こうした対策が功を奏しているのか、2社とも日本企業からの受注が売上に占める割合は高く、1社は6割強が日本の、それもトップ企業からの仕事でした。

円安が進み、2年前に比べて台湾ドルが2割近く円に対して上昇しているので、為替差損が発生して利益が出ていないのではと思いましたが、各社とも自動化をはじめとした自助努力によるコストダウンで乗り切っていました。

設計から加工、塗装、組立までのワンストップ加工に対応できることも大きな強みとなっていました。

1社は年内にも日本国内に営業所開設を計画していました。

また、日本で開催される公共展に出展、営業開拓にも努めていました。

 

さらにその中で気になったのが、発注元である日本の大手企業が、日本のサプライヤーと台湾のサプライヤーを引き合わせ、日台連携のSCMを構築しようと動いていたことです。

ハイテク関連企業の1社は日台のサプライヤー同士で技術交流会を開催、サプライヤー同士が実質的に役割を分担して協力する関係を構築していました。

特に九州のある板金サプライヤーが敏感に動いていました。

たしかに、鹿児島空港から1時間で台湾に来ることができ、距離的には東京よりも近い関係があります。

そうしたロケーションを考えれば、日台の有力な板金サプライヤーが連携して日系大手から多くの仕事を受注することは当然考えられますし、発注元がBCM/BCPの観点からも日台でSCM構築を考えることもわかります。

 

こうした事実を知るにつけ、企業の発展は経営者のマインド ― “心”で決まるということを痛感しました。

板金業界に変化 ― “Change”が始まっています。

 

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