早いもので、新年から3週間がたちました。
賀詞交換の挨拶や行事も終わり、普段と変わりのない日常が始まっていると思います。
昨年末までは、多くの経営者が今年の景気は厳しいと想定していました。
しかし、年明け後に開かれた業種別の新年賀詞交換会に集まった業界関係者の話を聞いていると、景気は後退するどころか、まだまだいけると感じておられる経営者がかなりおられることが分かりました。
特に産業用ロボット、工作機械業界など自動化、省人化に対応する生産財業界にそうした傾向が強いことが分かりました。
産業界では2極化が進んでおり、厳しい競争環境に対応するためには、生産性の改善、品質向上、短納期対応という地道な活動を着実に進めていく王道しかない――ということを経営者が改めて認識されているからです。
そのため、自動化・合理化投資に積極的に取組む企業が増加、生産財に対する投資意欲が強まっていると思われます。
円安が進む中で、地産地消で海外へ生産移転された仕事が、日本へ回帰する傾向も目立ってきました。
移転先である新興国では人件費アップが進む一方で、サポートインダストリーが未成熟ということもあって、現地生産を始めるためにはすべてを内製化する、サプライヤーを日本から連れて行く、ローカルサプライヤーを育成していく――という方法しかなく、モノづくりのインフラの差が認識されてきたことも大きいと思います。
それだけに日本のモノづくり基盤や日本人の国民性による優位性が改めて評価され、製造回帰が始まっていると思われます。
もちろん、円安傾向が何処まで続くかは分かりません。
今後、新興国でヒトづくり、インフラ整備が進めば、モノづくり基盤の底上げも期待できます。
それだけに、経営者は目先のトレンドにだけ目を奪われるのではなく、人口減少が続き2050年には人口が1億人を割り込むかもしれない、日本の将来動向までを考えた幾つかのシナリオを持つことが必要となります。
特に、大手企業とは異なり、資金力や人材の点でも劣る中小企業にはより一層、そうした視点でこれからの変化を注視し、変化対応が求められています。
そんな観点でお客さまを回っていると、お客さまの変化が着実に進んでいるのを感じます。
特に社員数が50名を超え、年商も10億円という壁を越えた企業に、そうした傾向が強くなっています。
最近、規模間格差ということがよく言われています。
スケールメリットという利点がある一方で、規模が大きくなってきただけに事業撤退はできない、事業を継続させなければならない――という使命感が、そうした経営者の意思決定に深く根ざしてきていると思います。
企業の成長はトップの器で決まる、とよく言われます。
それだけに企業経営者は自らの器を大きくしていく努力を惜しんではならないと思います。
経営者自身の変化対応力が求められています。