日本工作機械工業会が14日に発表した、2014年12月の工作機械受注総額が1,442億円と、07年9月(1,420億円)を超え、過去最高額を記録した。1,400億円超えは6年9カ月ぶりとなる。
このうち、内需は前月比では減少したものの、7カ月連続の400億円超で、堅調に推移している。また、外需は7カ月連続の前月比増で、9カ月ぶりの900億円超えとなり、過去最高額を記録した。
この結果、14年の累計受注総額は7年ぶりに1兆5,000億円を超え、07年に次ぐ、過去2番目となった。1兆円超えは4年連続となる。
内需は、2年連続で4,000億円を超え、リーマンショック以降の最高額を記録した。
一方、外需は史上初の1兆円超えで過去最高額となった。
日工会では15年の受注(推定)は1兆5,500億円前後を見込んでおり、このままの勢いで受注が推移すれば2年連続の1兆5,000億円超えも夢ではない。
今年の世界経済は年明け早々にフランスで発生した、イスラム過激派によるテロで、17名の犠牲者が出たこと、さらには中東で勢力を拡大するイスラム国の動向など、テロへの脅威が高まっている。
さらに、ギリシャの経済危機を契機にEUの存在価値も問われている。
原油価格が下げ止まらないことで、石油輸出による外貨獲得で経済成長を遂げてきたロシア経済の減速も避けられない。
また、クリミア情勢を巡るロシアとの軋轢によって、成長が鈍化する欧州経済。
さらに、米国の金融緩和策縮小の影響。さらには石油価格の下落によってシェールガスの採掘コストへの割高感が出てくれば、アメリカのエネルギー情勢にも大きな変化が見込まれ、好調を持続する米国経済も、内実には厳しいものがある。
そして中国経済の成長鈍化という懸念材料もある。
しかしながら、工作機械の海外需要は今までのところ、米国の自動車・エネルギー・航空機産業を中心に堅調だ。
また、年末の「ASEAN経済共同体」発足による貿易促進に備え、年末までに行われるミャンマーの総選挙結果によっては、ミャンマーに対するアメリカの経済制裁が解除され、海外からの投資が促進され経済がブレークする可能性もある。
また、タイを中心に周辺国へ製造業の投資が広がることが期待される。
予断を許すことは出来ない情勢変化の中で、工作機械業界は底堅い受注の持続を期待できそうだ。
そうなると製造原価の7-10%を占める工作機械向けの板金カバーの仕事も底堅いと見ることができそうだ。
懸念材料があるとすれば外需の割合が7割超えとなるため、地産地消で工作機械カバーの現地調達割合が増えることによる国内市場の収縮。
しかし、為替が現状の1ドル120円前後で推移すれば、国内調達コストの安値感も出てきて、海外生産していた仕事が国内へ製造回帰する可能性もある。
いずれにしても、板金業界の主要な需要先業界である工作機械業界の好調な受注が、板金業界には明るい追い風になることを期待したい。