2017年の年明けが明るいことを願う【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.32(2016年12月28日配信)からの転載になります。

 

いよいよ今年最後のメルマガとなりました。

政治や経済動向、個人的なことを綴ってきました雑文を読んでいただき、誠にありがとうございました。

 

ところで、政府は12月20日、実質GDP成長率予想を2016年度1.3%、2017年度1.5%と発表しました。

民間のエコノミスト(40人)は2017年度の成長率を1.1%とみており、政府計画はやや高めとなっています。

 

2017年度については1億総活躍社会の実現を目指す政府の景気対策で、パート従業員を含む非正規雇用労働者の処遇改善策、配偶者控除と配偶者特別控除などの税制改正、さらには安倍首相が直接ベースアップに対して経団連へ要請するなど、雇用・所得情勢の改善を背景に、個人消費は緩やかな持ち直しの動きが続くと見込まれています。

 

日銀が2017年を目標とした2%の物価上昇目標は2018年に繰り下げられましたが、物価が上昇基調に転じるためには、GDPの6割を占める個人消費の伸びが絶対必要条件です。

 

また、アメリカの金利上昇にともない、為替市場ではドル高が進み、少なくとも2017年上期は115~120円台での推移が予測されています。

一時は1ドル100円割れが懸念されていましたが、円高懸念は大きく後退、輸出関連企業を中心に、企業収益改善を背景として設備投資も増加する傾向にあります。

 

トランプショックがプラス効果で世界経済の活況は今後も続くと思われますが、国内産業は地産地消に対応した生産拠点の海外移転の進展などから、輸出増加ペースは緩やかなものになると思われます。

 

また、2016年度第2次補正予算で実施される経済対策の効果が、公共投資を中心に2017年度上期から真水効果が表れてくることも景気押し上げの要因になります。

公共投資は、2016年度は3年ぶりに増加に転じ、2017年度も東京五輪や社会インフラを中心とした国土強靭化対策などへの増加が続くと考えられています。

特にトランプ次期大統領の1兆ドルの社会インフラ投資が日本でも呼び水になることは充分考えられます。

 

ただ、リスク要因として考えておかなければならない課題は、(1)トランプ氏の保護主義・排他主義的な政策、(2)中国経済の下振れ、(3)米国の利上げにともなう新興国市場からの資金流出、(4)2017年に始まる英国のEU離脱交渉やフランス大統領選挙など欧州政局の混乱、イタリア、ドイツなどの金融機関不安 ― などがあります。

 

いずれにしても2017年の年明けが明るいものになることを願っています。

来年も皆様のお役に立てるよう、様々な話題を紹介していきたいと思います。

感謝。

厳しい2017年 ― 危機の芽は欧州にあり、神頼みの1年になる気がする【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.31(2016年12月10日配信)からの転載になります。

 

Sheetmetal 12月号が刊行され、いよいよ2017年の新春を迎えます。

出版業界では1月号の発行は2016年中に行うため、11月頭から新年号の企画や取材手配などで忙しく、年の瀬が1カ月以上早くやってきます。

2017年の業界展望、お客さまへのアンケート調査など、あわただしい毎日が続いています。

 

ところで、アメリカの第45代大統領に就任するトランプ氏については、予断を持ってはいけないと思いながら、選挙戦での発言などを見聞きしていると、国内外でアメリカの国益を最大限に追求した「America First」 ― アメリカ第一主義を徹底するのではないかという気がします。

国内の社会・経済の建て直しを最優先し、国際的問題への関与を可能な限り控えることでアメリカの国力を高める「反グローバリズム」を目指すのではないか、という心配があります。

 

また、欧州では昨年6月の英国のEU離脱に始まって、12月4日にはイタリアで上院の権限縮小などを盛り込んだ憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、反対派が勝利したことで、レンツィ首相は辞任する意向を表明しています。

さらに、3月にオランダ議会選挙、4月にはフランスの大統領選挙が控えています。

オランダでは反EUを掲げ、国民投票実施を求めている右派政党・自由党が、どこまで勢力を伸ばすか、注目されます。

4月のフランス大統領選挙では左派のオランド現大統領に対して、移民・難民排斥、反イスラム、そしてEU離脱を訴える極右政党・国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首が支持を伸ばしています。

9月に行われるドイツの連邦議会選挙では、EU離脱の国民投票を公約に掲げる「ドイツのための選択肢」(AfD)が国政への進出を果たす可能性があります。

 

欧州統合を推進してきたフランス、ドイツの国政選挙で、EU離脱や難民排斥を訴える勢力が支持を拡大すれば、ユーロ圏の政治的不透明感が加速し、単一通貨であるユーロへの不安が高まり、イタリアやドイツなどの主要銀行の信用不安問題も起きてくる可能性があります。

欧米各国に、自国のことを第一に考える「ポピュリズム」が広がれば、反グローバル化によって世界経済は大きな混乱を迎える可能性も出てきています。

 

そうなれば日本も当然その流れに飲み込まれることとなり、国内経済も大打撃を受けます。

下期から緩やかに回復してきた日本経済も、それによって一気に不況に陥る可能性が出てきています。

 

2017年を展望すると厳しい話ばかりが入ってきて暗澹とします。

日本を取り巻く周りの情勢によって、我が国は大きな影響を受けることは必至、まさに神頼みの1年になるという気がします。