不透明感が増す日本経済【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.177(2022年1月27日配信)からの転載になります。

 

オミクロン株の急速な感染拡大がこのままのペースで進めば、遠からず1日あたりの新規感染者数が10万人程度まで拡大するのではないかという見方もあります。オミクロン株は12歳以下の児童・幼児にまで感染が拡大していることが特徴的で、休園や学級閉鎖が全国各地で発生しています。感染力が従来の新型コロナウイルスの3倍以上というだけに、感染対策もなかなか対応できていないようです。

 

しかし、重症化するリスクは小さく、感染による死亡者数や重症化する患者の数は以前のデルタ株などと比べると小さくなっています。その一方で、感染者と濃厚接触者が自宅待機を余儀なくされた結果、エッセンシャルワーカーが不足し、社会経済活動の維持が困難になる可能性が指摘されています。

 

また、3月頃までに収束すると期待されていた半導体・部品、鋼材をはじめとした原材料の不足状態はまだまだ続く気配です。最近は生産活動に欠かせないさまざまなものが不足しており、広範な産業分野で生産が滞っています。これによってサプライチェーンが大きな影響を受けており、物資を運ぶ貨物船や製品や資材を積み込むコンテナの不足も伝えられています。

 

それによって工業製品はむろん、消費者物価も大幅に上昇してきています。鋼材などはすでに2015年と比較して2倍ちかくまで上昇し、ステンレスも1.4倍ほどに上がってきています。6年で1.4倍から2倍という価格高騰により、最終製品の価格改定も増えており、世界的にインフレ懸念が高まっています。そのため各国の中央銀行がいっせいに利上げや通貨供給量を制限する政策を取り始めており、経済活動に大きく影響する懸念も生まれています。

 

デフレからの脱却を目指してきた日本経済も、直近の消費者物価指数の上昇率が2%にまで高まってきており、デフレ脱却が意外なかたちで実現される気配です。しかし、物価の上昇は実体経済の活動にはブレーキとなるだけに、3%以上の経済成長が期待される2022年の経済の先行きにも大きく影響をおよぼすと考えられます。

 

先ゆきへの不透明感がますます高まっているだけに、経営者の景況感に基づく見通しや、それに対応する経営判断が問われる1年になってきました。経営者のみなさまも、ここであらためて自社の立ち位置と、周りの環境を確認して、これからの経営の舵取りを進める必要性が高まってきています。