「グリーン」と「デジタル」 ― 新たな成長戦略で変わる板金業界【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.170(2021年10月29日配信)からの転載になります。

 

10月に入って新型コロナウイルスの感染者数が減っています。

 

ワクチン接種を2回以上終えた人が全人口の7割を超え、各地に出されていた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置も解除され、社会経済活動は感染拡大前の状態を取り戻しつつあります。航空機や新幹線など、交通機関の利用者も10月以降は目立って増えています。

 

しかし、欧米諸国では、ワクチン接種が進んでいるにもかかわらず新規感染者数が増える傾向もみられており、日本でも感染第6波への対応として、引き続き、手洗い・うがい、マスク着用、三密防止を徹底することが求められています。

 

日常が戻ってくるのにともなって、得意先業種にもよりますが、板金業界でも繁忙な企業が増えています。最近お伺いしたお客さまは、2交代で工場をまわすとともに、各工程に相次いで最新設備を導入されていました。また、主力が半導体製造装置関連のお客さまは、新工場を竣工し、新たに最新設備を導入されました。

 

「半導体業界の好調は2023年いっぱい続くといわれています。しかし、台湾・TSMCによる熊本新工場建設計画に象徴されるように、半導体需要は2023年以降も高原状態が続き、落ち込んでもその幅は大きくないともいわれています。EV化や自動運転が注目されている自動車業界はもちろん、5Gや6Gといった高速大容量のネットワーク整備が進むことで、クラウド環境を増強するためのデータセンターなどの拡充が求められていきます。そうなれば“産業のコメ”ともいわれる半導体の需要はさらに拡大する公算が大きい。それにともなって、半導体製造装置の需要はこれからも増えていくと見ています」と話しておられました。

 

さらに、2050年のカーボンニュートラル実現へ向け、再生可能エネルギーへの転換が進み、化石燃料に代わって水素やアンモニアといった新たな資源の活用が進むと見られています。そのため、水素・アンモニアの製造装置に対する関心や需要が高まっています。こうした装置にはチタンやニッケルといった難加工材料が使われ、こうした素材を使った板金需要拡大への期待も高まってきています。

 

「デジタル」と「グリーン」という新たな成長戦略によって、板金業界の構造変化も進んでいます。