下期の景気回復に期待【メルマガ連携】

※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.141(2020年9月29日配信)からの転載になります。

 

お客さまから「金曜日も休業します」という案内のメールをいただくことが増えました。コロナショックによる景気後退で仕事量が大きく落ち込んでいることから、雇用調整助成金を活用して4勤3休で操業するお客さまが増えています。業種・得意先によっては、受注が半減して3勤4休、8割減少して2勤5休で操業しているケースも見られます。

 

これまで好調と見られていた半導体製造装置業界の仕事を受注しているお客さまも、7月以降に受注が下振れし、8月、9月と月を追うごとに受注が落ち込んでいます。9月に入って目立つのが、製造装置メーカーが半導体メーカーから受注していた案件がキャンセルになり、予定していた仕事がなくなるケースです。

 

コロナショックの影響もありますが、米中摩擦の影響が出ています。トランプ大統領は中国との対決姿勢を強めており、安全保障上の観点からファーウェイなど中国の通信機器メーカーや半導体メーカーをブラックリストに登録、5月以降に半導体などの電子部品の輸出を禁止しました。その一環で、米国製半導体製造装置の対中輸出も禁止する措置も発令されました。これは米国内の企業に限った措置ですが、日本も米国の同盟国として追従する可能性が指摘されています。

 

すでに、一部の半導体製造装置メーカーはサプライヤーに対して、「調達する製品を製造する際に米国製の機械・装置・部品を使用していないか」と調査依頼を出しており、もし製品の製造に米国製品が関わっていれば「米国の措置に反する行為とみなされるおそれがある」という警戒感が出ています。半導体製造装置は2023年度頃までは毎年2ケタの伸びが期待されていただけに、米中摩擦はコロナショック以上の衝撃となっています。

 

ただ、10月以降の下期の景気動向について、これまで以上にきびしい見方をする経営者がいる一方、全般的には回復を見込む経営者が多いようです。

 

経済産業省が毎月発表している「アニマルスピリッツ指標」があります。この指標は、「製造工業生産予測調査」で生産計画を上方修正した企業数の割合から、下方修正した企業数の割合を引いた数値で、企業の生産計画の強気・弱気の度合いを推し量るために活用されています。この指標が「マイナス5」を下まわると景気後退局面に入っている可能性が高いとされます。

 

8月調査のアニマルスピリッツ指標は「4.2」と、7月の「マイナス6.4」から大きく上昇し、プラスに転じました。2018年11月調査以来、実に21カ月ぶりのプラスとなり、生産マインドに改善がみられます。

 

こうした結果からも下期の景気はゆるやかに回復すると見込まれます。菅内閣が発足したこともあり、ここからの景気反転に期待したいと思います。