「竜田姫」が袖を振って紅葉をめでるように日本文化が世界を染める時代がやってきた

曇り空でしたが秋を探しに近くの里山に散策に出かけました。

紅葉は昼間と夜の寒暖の差が大きいほど鮮やかに色づくといわれます。

この秋は有難いことに朝夕の冷え込みが緩やかで、鮮やかな色づきは難しいと思っていましたが、里山でも、カエデやイチョウ、桜の葉がすっかり色づき、踏みしめる小路にも落ち葉が降り積もり、靴底から心地よい感触とサクサクという音が伝わって、小一時間ほどの散策コースでも十分に秋を感じることができました。

 

古来より日本では秋の色彩美を織りなしている紅葉は、秋をつかさどる女神「竜田姫(たつたひめ)」のおかげと言われてきました。

 

竜田姫は、現在の奈良県生駒郡三郷町にある竜田神社に祀られている女神さま。

奈良に都があった平城京では、五行思想に基づいて春‐東、夏‐南、秋‐西、冬‐北にそれぞれ女神を配し、奈良の西に位置する竜田山の女神「竜田姫」が、秋になると着物の袖を振って山々を染めていく、といわれてきました。

辺りに紅葉の名所も多いことなどから、「錦秋の女神」としても親しまれてきました。

 

帰り道には遠回りしてでも買いたい「竜田姫」と名づけられた和菓子。

この時期だけの限定品で、雅な姿で袖を振る「竜田姫」に思いを馳せ、少し渋いお茶で堪能しました。

日本では四季折々の自然の恵みを模して和菓子に仕立てる技術やセンスが育ってきました。

和食や日本酒が世界で人気を集めていますが、これからは独特の季節感、素材など、それぞれの旬を活かしたスイーツとして、和菓子が世界でももてはやされるのではないかと思います。

 

ところで、自宅で聞いているラジオ番組のなか、で京都在住のレポーターが「紅葉の秋を迎えた京都では、最近は紅葉の名所に着物を着て散策する外国人が増えている」とレポートをしていました。

和服を着付けして貸し出すレンタル店には、多い日には日に8台近くの観光バスで乗り付けた外国人が、老若男女をとわず、和服を着せてもらって、紅葉スポットを観光するのがトレンドだそうです。

 

そういわれれば以前、着物姿の男女が清水寺近くの三年坂を歩く姿に出会ったことがありました。

後姿を見ていると分からなかったのですが、近づいてみると外国の方でした。

艶やかな振袖を着た女性と羽織袴の男性で、着こなしや歩く姿がほほえましく、しばらく眺めていると、周囲にはそんな集団がたくさんいました。

修学旅行の女子学生の集団もいましたが、参道には着物姿の外国人が目立っていました。石畳の坂道と坂を上がった先に見える八坂の五重塔が際立って、着物姿が絵になっていました。

そんな風景を見ていると、着物ファッションもこれからは世界へ発信できる商品の一つであると感じたことを思い起こします。

 

TPP交渉が妥結したことを受け、日本の酪農団体をはじめとした農業団体からは、政府に補助金による救済を求める声が高まってきました。

これに対して政権与党の自民党農林部会の小泉進次郎部会長は「ウルグアイラウンドの時のような農業団体へのバラマキはしない」と明言されていますが、業界関連の族議員の動きも活発になっており、ウルグアイラウンド当時にバラ撒かれた6兆円余りの予算獲得に受け、トキの声を上げています。

 

これからTPP交渉の妥結によって、国会承認を経て参加国の議会での承認が得られれば、国内外で保護主義が台頭、補助金をめぐる攻防が激しくなるものと思います。

日本への外国人観光客が2,000万人にもなろうとし、日本文化の多様性が世界中で関心をもたれている時期に、補助金のバラ撒きはないと思います。

 

四季折々の季節感の中で、国土の7割以上が山岳地帯という地形からも生まれてきた、日本人の感性が培ってきた様々な文化に基づいた、日本発のモノが世界で高く評価される時代を迎えている気がします。