人手不足が自動化を推進し、人材育成へのマインドを変える【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.80(2018年5月2日配信)からの転載になります。

 

今年に入ってすでに30社あまりのお客さまを訪れましたが、おおむねお客さまの顔色は良く、先行きの景気に対しても強気な見方をされる方が、半数ちかくおられました。

中には「この景気は5年続く」と断言される経営者も現れ、足もとの経営環境に不安はないようです。

 

しかし、どの経営者も異口同音に語られるのが「人手不足」。

さらに働き方改革が進む中で、労働環境の変化に対応するのが大変、と話しておられます。

 

「この先は自動化しかない」と述懐されたお客さまは、自社の工場自動化に取り組むとともに、自動化に関連した業界の仕事を積極的に開拓する努力をされていました。

 

また、ベトナムに工場進出されているお客さまは、現地でベトナム人労働者を直接雇用、日本人社員同様の雇用条件で正規社員として採用して日本で働いてもらっていました。

これはかなり好条件であると思われます。

「実習生の場合は3年という期限がありますが、正規社員として雇用し、原則10年の勤務実態があれば日本に永住することも可能になります。在留歴9年のベトナム人社員は、優秀で、すでに当社の管理職として活躍しています。これからはダイバーシティ(多様な人材を積極的に採用する考え方)の時代を迎えるので、社員も国籍・性差・年齢を問わず、優秀な人材を採用すべきです」と業界に先駆けて決断され、異国の人材を積極的に登用する経営者も現れています。

ここまで踏み込んだ決断をされるお客さまはレアケースですが、今後は同様の決断をされる企業が増えると思います。

 

また、大半のお客さまに共通しているのが、「強い人材」の育成に取り組み、教育投資に積極的になっておられることでした。

そのために社外の人材育成セミナーやポリテクセンターなどの機関を利用して、社員のスキルアップ、キャリアアップの教育に取り組まれる企業も増えています。

さらには、社員教育のマニュアルを職種ごとに作成、先輩社員が時間内に後輩を指導する機会を定期的に持つ企業も現れています。

しかし、こうした取り組みも仕事が多忙を極めてくると、納期優先で時間が取れずに構想倒れになることもあるようなので社内教育には限界もありそうです。

 

ある企業では「素人発想」「玄人実行」というスローガンを掲げ、OJTによる社員教育に取り組まれていました。

この企業では、相談役に退任した創業社長が、ステンレス・アルミ・チタンなどの非鉄の精密溶接技術に早くから注目し、技術・技能の研鑽・伝承に力を注いでこられました。

定期的に社員を指導するとともに、課題を与えて作業に習熟させることを心がけて、広くPRされてきました。

毎年行われる溶接技能コンクールにも積極的に参加し、「ほかの会社の社員の技術レベルと比較して、自分のスキルがどのレベルなのか見極めることが大切」と、結果よりも参加することで己を知ることに力を入れておられました。

 

こういった例を鑑みると、政府が方針を提示する前――まさに「先見の明」によって自身の信じる方向にシフトされた経営者の決断に敬服します。

人手不足、働き方改革が問われる中で、企業の取り組みをこれからも注視したいと思います。

 

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