特集

2018年を展望する

主要業種別トレンド分析

企業マインドが改善 ― ほぼすべての業種が上向き

好循環する国内景気の影響で2018年の業界は明るいものに

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画像:企業マインドが改善―ほぼすべての業種が上向きJUKI産機テクノロジーのチップマウンター組立ライン

「いざなぎ景気」超えの景気

2018年の日本経済は明るい見通しとなる。2016年中頃からゆるやかに回復してきた日本経済は、2017年に入って横ばい圏内の動きから抜け出し、景気回復が次第に力強さを増してきた。

内閣府が発表した昨年10月の景気動向指数(一致指数)は、速報値で116.5(2010年=100)となり、2012年12月以来の景気拡大局面が59カ月続き、高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さになった。

7-9月期の実質GDP成長率は前期比0.6%(年率換算2.5%)と、7四半期連続でのプラス成長となり、10-12月期も同様の基調で推移していることから、2017年のGDP成長率はIMF(国際通貨基金)が10月に発表した世界経済見通しで予測したように、1.5%程度の成長が見込まれ、3年連続でプラス成長を達成する。

設備投資の高まりを背景に上昇基調を維持

10月の鉱工業生産指数速報値(2010年=100、季節調整済み)は103.0となり、前月比0.5%上昇。2カ月ぶりの上昇となり、「生産は持ち直しの動き」との基調判断を据え置いた。

設備投資の高まりを背景に、生産用機械や電気機械が好調。全15業種のうち8業種が前月の生産水準を上回った。半導体測定器などの電気機械工業が前月比2.5%上昇した。

製造工業生産予測指数は、11月が前月比2.8%上昇、12月が3.5%上昇。11月、12月の生産計画はいずれも高い伸びとなっており、生産の上昇基調は維持されているとみられる。NC工作機械、産業用ロボットなどの汎用・生産用・業務用機械、電子部品・デバイスがけん引している。

製造業を中心に企業マインドが改善

こうした生産活動の活発化や国際商品市況の上昇を背景として、製造業を中心に企業マインドが改善している。

昨年9月の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+22となり、前回の6月調査(+17)から5ポイント改善した。これは2007年9月調査(+23)以来となる10年ぶりの高水準で、改善は4四半期連続となった。

中小企業・製造業も+10と3ポイント改善、5四半期連続で改善した。企業からはスマートフォン部品など情報関連の設備投資や、自動車関連の需要が堅調と指摘されている。

企業業績改善や為替の安定推移を受け、決算見通しを上方修正する企業も多く、先行きへの期待から11月9日の日経平均株価は、一時、25年10カ月ぶりの水準となる2万3,000円台に達した。

工作機械受注も過去最高水準

こうした企業マインドの改善によって企業の設備投資意欲が旺盛で、日本工作機械工業会は10月に2017年通年の受注予測を当初の15%増である1兆5,500億円に上方修正した。1~11月までの累計は1兆4,797億円(速報値)となっており、通年で1兆6,000億円を超え、10年ぶりに過去最高となるのはほぼ確実となっている。

その一方で部品サプライヤーの生産が追いつかず、工作機械の納期にも少なからず影響が生じている。特に、ボールねじやリニアガイドといった基幹部品の需給が逼迫、大きな問題となっており、景気過熱現象も起きはじめている。

2018年の日本経済は地政学的な課題はあるものの、内外需とも引き続き堅調に推移するものと考えられる。以下に業種別の動向を紹介する

工作機械

好調な受注は継続受注は今年も1兆5,000億円超えを見込む

画像:企業マインドが改善―ほぼすべての業種が上向き工作機械(国産分)の受注金額推移/一般社団法人日本工作機械工業会

2017年通年の工作機械業界は受注額(推定)で1兆6,000億円超えがほぼ確実となり、過去最高額を記録した模様。とりわけ内需が好調で、リーマンショック以降の最高額を更新した。従来最高額だった2015年度上期の時は、「省エネ補助金」の効果で内需が大きく伸びたが、昨年は「ものづくり補助金」などによる押し上げに加え、全般的な国内経済の堅調さに支えられた。

内需は単月の受注でも、4月から11月までのすべての月で500億円を上回った。9月には、単月としては「省エネ補助金」効果があった2015年6月(603億円)を超え、リーマンショック以降の最高額を記録した。

業種別の状況をみると、全11業種中、前年同期比で8業種が増加となった。主要4業種では、航空・造船・輸送用機械がやや弱めの動きとなったが、半導体関連や一般部品加工などの需要も増加し、一般機械と電気・精密はリーマンショック以降の最高額となった。また、自動車もリーマンショック以降では2番目の受注額となっている。

外需は、2年連続の増加となった。受注額は1兆円になったと思われ、リーマンショック以降2番目の高水準となった。EMS関連の受注が増加した6月や、スポット受注が増えた11月には1,000億円を超える高水準の受注が見られた。地域別にみると、主要3極すべてで前年同期比が2ケタの増加となった。

内需の力強さと、高水準の受注が継続する外需。2018年の工作機械受注額も1兆5,000億円超えが見込まれている。

つづきは本誌2018年1月号でご購読下さい。

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