特集

ファイバーレーザ溶接ロボットへの期待と効果

未来への投資 ― チャンスをつかむため高出力仕様を選択

新規開拓の提案営業に活用し成果を出す

株式会社 アコオ機工

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画像:未来への投資 ― チャンスをつかむため高出力仕様を選択①ファイバーレーザ溶接システムFLW-6000ENSISのティーチング作業を行う柏木駿汰さん。入社2年目、20歳で専任オペレータに抜擢された/②ファイバーレーザ溶接が終了した食品機械用のホッパー(SUS304)/③トラックのフェンダー部品

2022年度は過去最高売上の達成を目指す

画像:未来への投資 ― チャンスをつかむため高出力仕様を選択間鍋雄樹社長

㈱アコオ機工は1972年に間鍋敏男氏が兵庫県赤穂市内で創業した。それ以来、主力得意先の鉄道車両メーカーの発展とともに事業を拡大、アルミ合金の加工ノウハウと溶接技術を強みに鉄道車両の仕事を増やしてきた。優れた技術力が評価され、今では鉄道車両メーカー4社から受注している。

2018年には近畿車輛など日系企業連合が受注したカタールの首都ドーハの地下鉄「ドーハメトロ」向けのMRTの車両225両(75編成)の床構体製作を受注し、2019年5月期、2020年5月期は増益となった。2021年5月期はその仕事が完了し、減収減益となったが、2022年5月期は新規得意先の増加で業績が改善。2022年度(2023年5月期)はピークの13億円超えを目標にしている。

鉄道車両以外の分野を強化 ― 3年で25社を新規開拓

コロナ禍による世界的なパンデミックで鉄道輸送も大きな影響を受けた。新造車両の製造計画が見直され、同社の受注も減少傾向が続いている。特に得意としてきたアルミ製構体を使用する新幹線車両は、東海道・山陽新幹線のN700Sなどを除くと大型案件が少ない。九州新幹線、北陸新幹線、北海道新幹線の一部区間を除くと、2027年以降に開業予定のリニア中央新幹線以外に新線計画はない。

コロナ禍でテレワークが普及し、通勤・通学が当たり前だった日常は大きく変わった。さらに、2050年には日本の人口が1億人を割り込むといわれており、今後は鉄道輸送の需要も減っていくと考えられている。

間鍋雄樹社長は、同社の事業環境について「ドーハメトロのような海外案件のほかに明るい話題はありません。そのため、当社もここ数年は鉄道車両以外の分野で営業開拓に努めてきました。2019年以降の3年間で、25社ほどの新規のお客さまを開拓しました」と語っている。

マテリアルハンドリング機器、船舶用エンジン、石油プラント関連の部品のほか、建設機械、特装車、食品機械、工作機械カバーなどの仕事を増やしてきた。昨年からは、大手建材メーカーで製造されてきたアルミの引抜材を切断・組立する橋梁用防護柵や、歩道用防護柵、「アルミ高欄」の生産委託を受けた。

「今年8月には本社工場から30分ほどの場所に第3工場を開設し、アルミ押出形材の製作から切断、組立、出荷までを一貫して受託生産するようになりました。今では、鉄道車両関連の仕事が売上全体に占める割合は50%程度まで低下しました」。

「鉄道車両関連では、第2工場で受託生産する『枕梁(まくらばり)』装置関連の大手メーカーから、新幹線車両の構体艤装部品の仕事が新たに見込めます。そのほかにも、これまで口座がなかったお客さまとの取引が始まる見込みが立ってきました」(間鍋社長)。

画像:未来への投資 ― チャンスをつかむため高出力仕様を選択左:3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで作成した3次元モデル/右:ファイバーレーザ複合マシンACIES-2515B-AJ(2棚+テイクアウトローダー仕様)

鉄道車両で培ったアルミの板金加工技術をPR ― ACIES-AJがアルミの加工に貢献

取引口座は100件以上。現在は50~60社と取引しており、毎月定期的に取引がある得意先は30社で、このうち5社で売上全体の70%を占める。リピート率は50%。子部品を含む毎月の加工部品数は4万点。鉄系材料とアルミが80%、ステンレスが15%、その他が5%で、板厚は0.8〜6.0㎜が多い。

時速260㎞で走行する新幹線車両にはアルミ製構体が採用され、耐用年数20年以上が求められる。長年にわたりアルミ製車両の仕事を手がけてきた同社は、アルミの板金加工技術を積極的にPR。10年ほど前には50ページにおよぶ「アルミ製缶板金VA/VE技術ハンドブック」を制作し、展示会などで配布した。

ドーハメトロの受注が決まった2017年、パネルを含めたアルミ板材の加工ラインにファイバーレーザ複合マシンACIES-2515B-AJ(2棚+テイクアウトローダー仕様)とベンディングマシンHG-2203、HG-1303を導入した。

アルミの板厚1.2~2.0㎜を加工するケースが多く、ファイバーレーザによる高速切断と、ワンクランプで穴あけ・成形・タップ・外周切断ができるACIES-AJは、生産性と加工精度の向上に貢献すると判断した。TK(テイクアウトローダー)がワークを搬出し、製品ごとに仕分けられるため、バラシ作業の工数を削減できる。電気料金・ガス料金などのランニングコストも減少した。

  • 画像:未来への投資 ― チャンスをつかむため高出力仕様を選択ブランク材は製番単位でまとめられ、曲げ工程へ送り出される
  • 画像:未来への投資 ― チャンスをつかむため高出力仕様を選択塗装工程。吹付塗装、焼付塗装がメイン

会社情報

会社名
株式会社 アコオ機工
代表取締役
間鍋 雄樹
所在地
兵庫県赤穂市東有年952-5
電話
0791-46-9555
設立
1980年
従業員数
84名
主要事業
アルミニウム・鉄・ステンレスの板金・プレス加工、溶接・組立、吹付塗装・焼付塗装
URL
https://akoo.co.jp/

つづきは本誌2022年12月号でご購読下さい。

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