特集

ファイバーレーザ溶接ロボット活用事例

人工透析装置の水処理装置・ろ過装置を一貫生産

FLW-ENSIS導入で溶接作業の脱・属人化を推進

株式会社 ホシヤエンジニアリング

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画像:人工透析装置の水処理装置・ろ過装置を一貫生産FLW-ENSISによるファイバーレーザ溶接作業

人工透析装置の水作製装置などの社内一貫生産体制を構築

画像:人工透析装置の水処理装置・ろ過装置を一貫生産星屋功社長(左)と星屋正夫会長(右)

㈱ホシヤエンジニアリングは1975年、星屋正夫会長が星屋工業として創業した。星屋会長がそれまで勤めていた会社で培った人工透析装置の保守メンテナンスのスキルを生かし、事業をスタートした。

1985年に法人化し、㈲ホシヤエンジニアリングを設立した。現在地に工場を建設し、人工透析用の精製水システムを中心に、病院内の各種水処理システムに関連した事業を行うようになった。柱となる事業は、業界トップ企業から生産委託された人工透析用水作製装置、ろ過装置などのフレーム筐体、タンクなどの設計・製造・組立だった。

当初はタンクなどの板金加工を協力工場に依頼し、社内では一部の曲げ加工と溶接組立を行っていた。しかし、協力工場に依存した体制だと品質・納期の面でトラブルが頻発。そこで、社内一貫生産に対応するため1998年に株式改組し、レーザマシンLC-1212αⅢNTを導入して、ブランク工程の内製化をはかった。

2013年にはベンディングマシンHD-8025NTを導入し、曲げ工程を強化。2020年にはLC-αⅢNTをLC-1212αⅤに入れ替えた。2021年にはファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSIS(FLW-3000EN)とFLW用CAM VPSS 3i WELDを導入し、生産合理化による顧客満足度の向上に取り組んできた。

  • 画像:人工透析装置の水処理装置・ろ過装置を一貫生産レーザマシンLC-1212αⅤ
  • 画像:人工透析装置の水処理装置・ろ過装置を一貫生産ベンディングマシンHD-8025NT

人工透析装置の水処理装置が100%

同社は、人工透析装置を構成する「水処理装置」の国内トップ企業から生産委託を受けており、この製品だけで売上の100%を占めている。

人工透析は何らかの原因で腎臓の機能が正常に働かなくなった患者に行う血液透析の治療法だ。機械で血液を体外に出し、人工腎臓(ダイアライザ―)を介して血液中にたまった老廃物や余分な水分を除去し、電解質のバランス補正を行い、血液を体内に戻す。一般的には週3回、1回4時間程度、実施する。

人工透析装置は、「水処理装置」「透析液供給装置」「コンソール(患者監視装置)」で構成される。

「水処理装置」は、透析液を薄める水道水に含まれる不純物を取り除き、きれいな水にする。「透析液供給装置」は、浄水と濃い透析液を混ぜ、決められた濃さの透析液を作製する。多くの患者の透析液をまとめて作製・供給する多人数用供給装置と、個々の患者の透析液をベッドサイドで作製する個人用供給装置がある。「コンソール」は、患者のベッドサイドで透析液や血液の流れ、除水量、透析液の温度、抗凝固薬の注入量などを調節・監視する。

日本透析医学会によると、人工透析を必要とする国内の患者数は33万人あまりで、高齢化が目立っている。また、中国など東アジア諸国で患者数が増加しており、日本製の透析装置の輸出が伸びている。

画像:人工透析装置の水処理装置・ろ過装置を一貫生産左:VPSS 3i WELDによるオフラインプログラミング。ティーチング作業の外段取り化によって稼働率が大幅に改善した/右:FLW-ENSISで溶接したステンレス製タンク(SUS304・板厚2.5㎜)

会社情報

会社名
株式会社 ホシヤエンジニアリング
代表取締役会長
星屋 正夫
代表取締役社長
星屋 功
所在地
愛知県春日井市桃山町2-236
電話
0568-84-5132
設立
1998年
従業員数
15名
主要事業
人工透析用水処理施設および循環装置の設計・保守・修理・製造・設置工事

つづきは本誌2023年2月号でご購読下さい。

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