特集

医療・医用機器を支える板金加工

医用機器は「コロナ特需」が一巡、現在は食品・厨房機器が好調

品管を強化 ― 「お客さまに安心していただける製品を送り出す」

株式会社 ゼンキンメタル

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画像:医用機器は「コロナ特需」が一巡、現在は食品・厨房機器が好調ファイバーレーザ複合マシンEML-2512AJe(2棚+TK仕様)

「ヤマタノオロチ伝説」発祥の地に立地

画像:医用機器は「コロナ特需」が一巡、現在は食品・厨房機器が好調左から、新田敏也取締役技術・品質管理部長、多久和仁社長、植田豊取締役生産部長

1995年に創業された㈱ゼンキンメタルの社名は、「全国の精密板金加工に関するお客様のご要望にお応えし、金属加工の技術力を高めて共に成長する」という想いから、「全国=ゼンコク」「板金=バンキン」「金属=メタル」を組み合わせて名付けられた。

同社が立地する雲南市を流れる斐伊川は、古代出雲神話「ヤマタノオロチ伝説」 ― 船通山の麓に八岐大蛇(やまたのおろち)が棲みつき、人々を苦しめていたが、「簸(ひ)の川上(斐伊川上流部の古称)」へ天上からスサノオノミコトが降り立ち、八岐大蛇を退治したという故事を伝える河。その悠久の「流れ」にゼンキンメタルの頭文字「Z」をなぞらえ、力強さと変化に対する柔軟さを兼ね備え、地域経済に活力をもたらす企業でありたいという願いを込めている。コーポレートカラーは誠実な企業姿勢と、地元山陰の空や川といった自然をイメージしたブルーが基調となっている。

直近で取引のある企業は60社あまり。中でも医用/分析機器、食品・厨房機器、紙幣処理機関連などの主要5社で売上全体の70%を占める。それぞれの本社は近畿圏・中部圏にあるが、板金加工のマザー工場が近隣の出雲市や雲南市にある。とりわけ食品・厨房機器メーカーの島根工場は、同社工場の隣に立地しており、ロケーションは抜群だ。

  • 画像:医用機器は「コロナ特需」が一巡、現在は食品・厨房機器が好調HG-8025(手前)など10台のベンディングマシンで曲げ加工に対応する
  • 画像:医用機器は「コロナ特需」が一巡、現在は食品・厨房機器が好調曲げ加工を行った製品

創業当初から医療機器用板金部品を手がける

創業当初から取引する医療機器メーカーの製造子会社は、同社創業の2年後に設立され、本社工場との取引口座があった同社にも仕事が発注されるようになった。

この医療機器メーカーはX線検査装置(レントゲン)の国内トップメーカーで、同社はレントゲンの構成部品である板金部品の製造を行うとともに、途中からはレントゲンの組立も委託されるようになった。2006年12月には得意先メーカーからの指導もあり、医療機器の品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO13485の認証を取得、医療機器の組立も行うようになった。

ISO13485を取得した目的は、医療機器の一貫した設計、開発、製造、保管、流通、設置またはサービス、廃棄を保証すること。医療機器の製造や販売を行おうとする企業には、事業を展開しようとする市場において、特定の該当する規制要求事項に従って、各プロセスを実施することが求められている。同社はサプライヤーだが、メーカーの委託を受けてレントゲンの組立を行うことから、メーカーに準じて組立プロセスを保証するため、認証を取得した。

しかし、メーカーは商流全体を見直すこととなり、組立を関連子会社で行う方針に転換したため、同社への組立の発注量は減少した。大半の組立は子会社へ移管され、同社は引き続き構成部品の加工の仕事を請け負うとともに、子会社経由で一部機種のサブアッシーを手伝うようになった。メインの組立の仕事がなくなったことから、ISO13485に関しては、メーカーとも協議して昨年12月に認証を返上した。

  • 画像:医用機器は「コロナ特需」が一巡、現在は食品・厨房機器が好調TIG・半自動溶接を行う溶接エリア
  • 画像:医用機器は「コロナ特需」が一巡、現在は食品・厨房機器が好調3Dスキャナ型3次元測定機で非接触の検査を行う

会社情報

会社名
株式会社 ゼンキンメタル
代表取締役
多久和 仁
所在地
島根県雲南市木次町里方1079-1
電話
0854-42-5318
設立
1995年
従業員数
78名
主要事業
医用/分析機器、食品・厨房機器などの薄物精密板金加工、組立
URL
https://www.zenkinmetaru.com/

つづきは本誌2024年11月号でご購読下さい。

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