「食の安全・安心」を担保する食品機械と厨房機器の板金加工
厨房板金のTo-Beモデルとしての“みんなの工場”
厨房の仕組みづくりを目指した第3工場を計画
株式会社 ハイサーブウエノ
第3工場が本格稼働
㈱ハイサーブウエノは本社の隣接地に溶接・組立を行う第3工場を建設、本格稼働させた。総投資額は12億5,000万円。隣の第1工場から溶接と研磨、組立工程を移設。複雑だった動線や生産ラインを整理した。抜き・曲げが終わった仕掛り品は製品ごとにパレットに載せ、ガイドレスの自律走行搬送ロボット(AMR)で第3工場へ搬送、人手を省き生産効率の向上を目指す。
同社は大手外食チェーン向けの厨房機器を製造販売している。全国的に厨房板金工場の淘汰が進む中、新工場建設で変化が速い外食産業への対応力を強化、将来的には生産量を従来比3倍程度にまで増やす予定だ。
コロナ禍によるピンチを契機に
コロナ禍で外食産業が疲弊し、業務用厨房の需要も落ち込んだ。そこでステンレスの板金加工に強みを持つ同社はコロナ禍により急激に高まった衛生意識に着目し、飛沫防止ガードを自社開発した。吉野家などの大手外食チェーンとの直接取引が増加し、延べの出荷台数は50万超えとなり売上の落ち込みをほぼリカバーすることができた。
また、2019年12月には大手外食チェーンのワタミグループ、食肉加工業のカミチクグループと合弁会社を設立。世界での和牛の消費拡大に向けて中国・米国でのフランチャイズによる多店舗展開を目的とする事業を立ち上げた。飼料の生産・繁殖・肥育、食肉の製造・加工、外食・販売まで一貫して行うカミチクグループが高品質な和牛を提供。ワタミグループが外食店舗やスタッフを提供。同社は店舗内の厨房設計の最適化により生産性を向上させるノウハウを提供した。各社の強みを生かし、さまざまなノウハウの融合をはかった焼き肉業態を開発した。
2022年5月にはイタリアンレストランを国内外で約1,600店舗運営するサイゼリヤと合弁会社㈱CSsTを設立、サイゼリヤと共同で開発してきた厨房技術を中心に厨房システムを提供する。その第一弾としてサイゼリヤで導入が進む清掃レスグリストラップ「グリスシールド」(GS)を提供している。
自社ブランドを持たないことが強み
小越元晴社長は第3工場を建設した狙いについて次のように語っている。
「当社は自社ブランドを持たないことを“強み”として、モノを売り込むのではなく、飲食業界のお客さまに寄り添って厨房づくりをお手伝いするビジネスモデルを追求しながら、外食の“繁盛店”をつくりたいと考えてきました。これまで店舗・厨房設計の最適化に取り組んできたことで外食店舗の厨房の生産性を向上させるノウハウを培ってきたと自負しています。そこで、総合厨房の視点でさまざまな提案をさせていただきながら、外食産業のみなさんとのアライアンスづくりに取り組んできました」。
「人手不足が続く中、コロナ禍を経験した外食産業は大きく変化しています。アフターコロナで新たな営業スタイルを模索しており、省スペースで高効率な機器への需要が高まっています。その中で継続的に利益の出る“繁盛店”にするためには厨房内はできるだけ人が動かずにすむように動線を短くし、作業効率を徹底的に追求していく必要があると考えてきました。また、厨房の面積をコンパクトにして客席数を増やし、注文から配膳までのフローを無人化することでフロアの収益効率を改善していくことも提案させていただきました」。
「何よりも大切にしなければいけないことは“QSC+ES” ― 品質(Quality)、サービス・おもてなし(Service)、清潔さ(Cleanliness)、そしてお店で働く従業員の満足度(Employee Satisfaction)。それらを満足させるために当社では総合厨房の観点から3つの方針 ― 『①自社ブランド製品を売り込まない!』『②世界一の安全品質!』『③食に関わる製品を一貫生産!』を掲げています。この方針を堅持しながら外食産業の発展に貢献する厨房板金のための『みんなの工場』を構築したいと考えました。その第一歩が第3工場の建設です」。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 ハイサーブウエノ
- 代表取締役社長
- 小越 元晴
- 所在地
- 新潟県三条市福島新田丙2406
栄中央工業団地
- 電話
- 0256-45-5678
- 設立
- 1969年
- 従業員数
- 89名
- 主要事業
- 厨房機器の設計・製作、厨房機器販売、施工・メンテナンス、各種ステンレス加工
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