Sheet now

筐体製造エンジニアによる、工程・設計提案で差別化をはかる

社員の1/3が6カ国からの外国人材 ― 多様な人材が活躍するダイバーシティ工場

株式会社 二ノ宮製作所

LINEで送る
Pocket

画像:筐体製造エンジニアによる、工程・設計提案で差別化をはかる7段11列のMARSと連動するファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ+RMP-2512NTK(奥)とパンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T+RMP-2512NTK(手前)

電話通信装置の板金加工から始まった

画像:筐体製造エンジニアによる、工程・設計提案で差別化をはかる二ノ宮紀子社長

㈱二ノ宮製作所は飛行機エンジニアだった二ノ宮精二氏が1947年に創業した。1950年に電話通信装置の板金加工を始め、1962年からホチキスの芯をつくる専用機(製針機)、1971年から紙幣・硬貨などの計算機部品の製造を開始。1972年に自動ハトメ打機を開発して特許を取得、販売を始めた。

1980年には二ノ宮常巳氏(現会長)が2代目社長に就任。精密板金事業を発展させ、2002年からはアルミ、チタンの溶接に取り組んだ。事業拡大にともなって2007年にみどりが丘工場(敷地面積3,421㎡)を新設し、パンチ・レーザ複合マシンEML-3610NT(サイクルローダー仕様)を導入。2014年には生産能力・生産性の向上のため、パンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T(2棚+TK仕様)を導入した。

2011年に二ノ宮紀子氏が3代目社長に就任してからは高度外国人材を積極的に採用してきた。2014年に日本貿易振興機構(JETRO)の「中堅・中小・小規模事業者新興国進出支援専門家派遣事業」に採択され、フィリピンを訪問。2015年にフィリピンのマプア大学と国際インターンシップ協定を締結した。さらに、国際協力機構(JICA)や埼玉県の国際課とプロジェクト連携し、セブ島にあるサンホセレコレトス大学とも同協定を締結、インターンシップ生の受け入れを開始した。

2016年には経営ビジョン「ROAD TO 2022」を策定。工場内のマネジメントを強化するため、2015年度版のISO9001(品質マネジメントシステム)とISO14001(環境マネジメントシステム)の認定を取得。2017年には3次元CADを拡充し、工程設計能力を強化した。2018年には自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC、清浄度向上のためのクリーンブースを設置したほか、工程設計能力の強化のため製造技術グループを発足した。

  • 画像:筐体製造エンジニアによる、工程・設計提案で差別化をはかる曲げ加工エリアの前には加工待ちのブランク材を乗せた台車が並ぶ
  • 画像:筐体製造エンジニアによる、工程・設計提案で差別化をはかる自動金型交換装置を備えたベンディングマシンHG-1003ATC

環境配慮型のスマート工場が完成

2019年にはファイバーレーザ溶接機FLW-300MTを導入し、溶接品質の向上とスキルレス化に取り組んだ。2021年には製造支援システムvLot Managerを導入。特急・割込みなどにも対応した生産スケジュールを自動で作成、生産性向上、デジタル化、技能の見える化を推進した。

また、フィリピンのカビテ州立大学との国際インターンシップ協定を締結。ダイバーシティ化にともなう現場の多言語化にも対応していった。こうした取り組みによって売上高は10年で約2倍に成長。2022年には次世代半導体製造装置など新規案件の獲得を機に「サプライチェーン補助金」の3次公募に応募、採択された。

2022年秋には2025年の売上を1.5倍にするため、みどりが丘工場の敷地内に高さ3,000㎜の大型精密筐体に対応できる塗装工場を新設した。処理槽で使用した水洗水などをイオン交換樹脂で回収、吸着除去することで純水として再利用する「環境配慮型工場」となっている。

2023年8月には半導体製造装置など大型精密筐体の生産体制を強化。自動倉庫MARS(7段11列)と、ファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJを導入した。既存のACIES-2512Tは2連の棚を分離してマニプレーター(RMP-2512NTK)を装着し、MARSと連動させた。MARSと連動するACIES-AJとACIES、サイクルローダー仕様のEMLの複合マシン3台体制となり、ブランク工程の生産能力は1.5倍になった。

マシンの導入に合わせてブランク~曲げ~溶接~塗装~組立までのワンストップ対応を拡充。vLot Managerをフル活用して製造手配、生産スケジュール、進捗状況がどこにいてもリアルタイムで確認できるようになった。作業を効率化することでスマートファクトリーを実現し、工程の整流化をはかった。

画像:筐体製造エンジニアによる、工程・設計提案で差別化をはかる左:TIG溶接工程/右:粉体塗装ブース内での塗装作業。高さ3,000㎜の大型精密筐体にも対応する

会社情報

会社名
株式会社 二ノ宮製作所
代表取締役
二ノ宮 紀子
所在地
埼玉県秩父市みどりが丘29-1(みどりが丘工場)
電話
0494-62-5755(みどりが丘工場)
設立
1947年
従業員数
80名
主要事業
半導体製造装置、社会インフラ機器、計測機器、医療機器、環境試験機器などの精密板金筐体の加工・組立、塗装までの一貫生産
URL
http://www.ninomiya-mfg.com/

つづきは本誌2024年1月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Sheet now記事一覧はこちらから