特集

SBT認定取得による環境経営への取り組み

「総勢7名の鉄工所」がSBT認定を取得、脱炭素化への貢献を目指す

「建築金物」「設備金物」を手がける鉄工所 ― 現地実測・施工・設計提案にも対応

株式会社 柳田鉄工所

LINEで送る
Pocket

画像:「総勢7名の鉄工所」がSBT認定を取得、脱炭素化への貢献を目指すハンディファイバーレーザ溶接機FLW-600MTは主にステンレスの薄板の接合に使用している。協働ロボットを搭載したファイバーレーザ溶接機の導入も検討中

脱炭素に不向きだからこそ挑戦する価値がある

画像:「総勢7名の鉄工所」がSBT認定を取得、脱炭素化への貢献を目指す「脱炭素に向かない業種だからこそ、挑戦する価値がある」と語る柳田優社長

兵庫県神戸市の㈱柳田鉄工所は2024年1月、「SBT」(Science Based Targets)の認定を取得した。中小企業版SBTの対象となるScope1(直接排出)とScope2(間接排出)について、温室効果ガスの排出量を2030年に2022年度比で42%削減する目標を定めた。

「役員含め総勢7名の鉄工所」という脱炭素化とは結びつきにくい規模・業種でありながら、柳田優社長はアマダからSBT認定取得の提案を受けた後、ほとんど間を置かずに挑戦することを決めた。2023年9月に提案を受け、その月のうちに申請準備をスタート。11月1日に申請を完了し、2024年1月に認定を取得した。

SBTへの挑戦を決断した経緯について、柳田社長は次のように語っている。

「お客さま・同業者・仕入先などと接しながら、周囲で環境問題への意識が高まっていることを感じていました。当社としても環境問題に取り組む必要を感じているところへSBT認定取得の提案を受け、迷うことなく決断しました」。

「環境問題への意識を高く持つことは、これからの時代を生き残るための必須条件。SBT認定の取得は、企業価値や従業員満足度を高めることにもつながります。個人的にも、これからはいろいろなかたちで世の中に恩返しをしていきたいと考えていたので、良い機会でした」。

「鉄工所は脱炭素に最も向かない業種のひとつではないかと思います。しかし、そんなことを言っていたらいつまで経っても何もできません。環境問題への貢献が難しい業種だからこそ、取り組む価値があります。その第一歩として、まずはSBT認定取得に取り組んでみたいと思いました」。

画像:「総勢7名の鉄工所」がSBT認定を取得、脱炭素化への貢献を目指す左:SheetWorksで作成した螺旋階段の3次元モデル。得意先への提案に3次元モデルを活用することで、手戻りや不良はほとんどなくなった/右:Quattroによるレーザ加工。Quattroの加工割合は平板70%・パイプ30%となっている

「建築金物」「設備金物」を手がける鉄工所

同社は、建築物に用いられる「建築金物」や「設備金物」の加工から現場施工まで手がけている。得意先は大小合わせて約180社にのぼり、大手サブコンや鉄道事業者も含まれる。

売上構成は、全国規模の大手サブコン5社で約50%を占める。続いて神戸市内の建築業者、さらに工務店・電気工事業者・土木業者などが多数連なる。

最大の強みは「短納期対応」。小規模事業者ならではのフレキシブルな対応力や、建築物に関する知識・ノウハウ、3次元CADを駆使した設計提案にも定評がある。

手がける製品はいずれも建築関連だが、大手サブコンなどから受注する「設備金物」と、それ以外の得意先から受注する「建築金物」に大きく分けられる。

「設備金物」は、衛生配管・空調配管・医療ガス配管・消火配管などの各種配管で使用する配管サポートや、空調機器の架台、異形プレートなど。「建築金物」は鉄骨やガセットプレートなどの建築構造部材から、鉄道駅のホーム柵、階段、手すり、パネルなどと幅広い。施工実績も公共施設・商業施設・鉄道駅・病院・工場・オフィスビル・集合住宅と多岐にわたり、大阪駅北地区(うめきたエリア)などの都市再開発プロジェクトの案件も手がけている。

  • 画像:「総勢7名の鉄工所」がSBT認定を取得、脱炭素化への貢献を目指す2022年12月に導入したベンディングマシンHG-1303
  • 画像:「総勢7名の鉄工所」がSBT認定を取得、脱炭素化への貢献を目指す左がバンドソーHK-400、右が溶接工程。加工する材料は形鋼が80%を占める

会社情報

会社名
株式会社 柳田鉄工所
代表取締役
柳田 優
所在地
兵庫県神戸市長田区駒ヶ林南町1-79
電話
078-732-7323
設立
2011年(1950年創業)
従業員数
7名(役員含む)
主要事業
商業施設・オフィスビル・学校・病院などの建築物で使用する建築金物・設備金物の加工・施工
URL
https://yanagitasd.themedia.jp/

つづきは本誌2024年4月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから