特集

SBT認定取得による環境経営への取り組み

顧客の「脱炭素経営」をサポートする

「ものづくり補助金(グリーン枠)」での設備導入も後押し

株式会社 山本工作所

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画像:顧客の「脱炭素経営」をサポートする2018年に導入したレーザマシンLC-1212αⅤによる加工

宮大工だった曽祖父が創業

画像:顧客の「脱炭素経営」をサポートする山本裕史取締役(左)と山本裕太郎社長(右)

㈱山本工作所は宮大工だった山本裕太郎社長の曽祖父が、神社仏閣の建築、修繕を行う事業を神戸市長田で始めたのがきっかけで、屋根板金の仕事を始めた。

山本社長の父・山本裕史取締役が入社した1970年代後半には、大手情報通信機器メーカーが兵庫県明石市の工場でプリンターをはじめとしたコンピュータ周辺機器の製造を始めたことから、同社も天候に左右される屋外での屋根板金の仕事から、屋内作業の工場板金の仕事を手がけるようになった。そして、コンピュータ周辺機器など薄板精密板金の仕事を本格的に手がけるため、1984年にはパンチングマシンPEGA-344を導入。1986年に兵庫県内でも導入事例が少なかったレーザマシンLASMAC-644、ベンディングマシンFBD-5012E、自動プロAP40などを導入した。

「当時は祖父が社長で父・兄弟親戚の親族社員5名のみの小規模工場でしたが、設備は最新のものを業界に先駆けて導入していました。1985年頃には神戸市長田から西神地域に造成された機械金属団地に工場を移転、現在まで同じ場所で操業を続けています。1995年の阪神・淡路大震災でも西神地域は被害が比較的少なく、一時的な影響程度で済みました。小規模な会社ならではの小まわりが利いた丁寧な仕事ぶりや、納期を厳守する取り組みでお客さまからご評価いただきました。仕事は途切れることがなく、コンピュータ周辺機器の仕事は売上全体の1/3を占めるまでに成長していきました」(山本社長)。

  • 画像:顧客の「脱炭素経営」をサポートする品質方針(左)と中小企業版SBTの認定証(右)
  • 画像:顧客の「脱炭素経営」をサポートするSBT認定申請のために算出した2022年の月別CO2排出量

落ち込みをリカバーする新規取引に成功

コンピュータ事業の不振から情報通信機器メーカーがリストラを実施し、明石工場の周辺機器事業を2002年に統廃合した際には、同社が部品を受注していたプリンターの製造が福島県の関連会社に移管、売上の30%以上を占めていた仕事がなくなる可能性が生じた。同業者の中には事業から撤退する企業も出た。同社の場合は仕事量は半減したものの、移管先の関連企業から継続して受注できることになり、毎週福島から引き取りに来るトラック便で納品している。

さいわい、西神インダストリアルパークに神戸工場がある鉄道関連機器メーカーの1次サプライヤーから、鉄道関連機器の板金製品の仕事の引合いを受けた。ロケーションとステンレス製品の加工にも精通していた同社の技術力が評価され、受注につながった。無事に落ち込み分を埋め合わせることができた。

さらに、受託加工業者から新規の薄板板金加工の仕事も受注できるようになった。売上構成比で30%弱を占める得意先が3社となったことで受注量を平準化できるようになり、ピンチをチャンスに変えることができた。

  • 画像:顧客の「脱炭素経営」をサポートするベンディングマシンFBDⅢ-5012NT(手前)
  • 画像:顧客の「脱炭素経営」をサポートするSECC・板厚1.2㎜で製作したボックス製品

会社情報

会社名
株式会社 山本工作所
代表取締役
山本 裕太郎
所在地
兵庫県神戸市西区高塚台3-2-32
電話
078-991-2821
従業員数
6名
主要製品
OA・コンピュータ周辺機器、プリンター部品、通信・無線応用機器

つづきは本誌2024年4月号でご購読下さい。

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