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5Gなど通信インフラ向け事業を強化

新工場開設で「量産」のビジネスを拡大 ― 2年で売上1.5倍を目指す

有限会社 西山製作所

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画像:5Gなど通信インフラ向け事業を強化新工場の製造現場は空調完備の無柱空間。向かって右がブランク工程、左が曲げ工程、奥がロボット溶接工程、手前が溶接工程となっている

新工場開設 ― 「個性的な工場に」

画像:5Gなど通信インフラ向け事業を強化西山忠宏社長

神奈川県秦野市の㈲西山製作所は2022年5月、新工場を開設・移転した。新工場は敷地面積1,996㎡、建築面積970㎡の一部2階建て。見晴らしの良い高台に立地し、晴天時は工場正面に雄大な富士山の姿を一望できる。

製造現場は空調完備の無柱空間とした。横河システム建築の「yess建築」をベースに、地場の建設工事会社、コラム建設(神奈川県秦野市)が自由設計を採り入れた「オプティマス倉庫」の工法を採用した。建屋の外観や内装、什器にもこだわり、食堂を兼ねたカフェテリアも設置。工場移転に合わせ、企業ロゴマークやユニホームも刷新した。

西山忠宏社長は「生産能力の増強や労働環境の改善はもちろんですが、営業・採用の両面を意識してデザインオフィスのような個性的で魅力的な工場にしたかった。社員たちも会社の転機だと肌で感じてくれていると思います。仕事に取り組む姿勢、特に納期に対する意識が移転前より強くなり、頼もしく感じています」と語っている。

2年で売上1.5倍を目指す

新工場の開設にともない、女性社員4名を新規採用。さらに、かねてから進めていた生産プロセス改革の取り組みを加速させた。

自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATCを導入し、ファイバーレーザマシンLC-2512C1AJにサイクルローダー(ASR-2512NTK)を後付けで設置した。

旧工場では、工場スペースの制約もあってロボット溶接機以外の自動化設備はなく、「多品種少量生産」に特化していた。新工場では、自動化・スキルレス化に取り組むことで「量産」への対応力を強化。生産能力を工場移転前の1.5倍に増強した。

今後は新規得意先の開拓、新規案件の獲得に力を入れ、来期(2024年10月期)には売上高を2022年10月期の1.5倍に、2029年10月期には2.5倍にしたい考えだ。

画像:5Gなど通信インフラ向け事業を強化左:2022年5月に開設・移転した新工場の外観/右:曲げ工程。中央に曲げ待ち・曲げ後の仕掛り品が仮置きされている

リーマンショックで業績悪化 ― 危機に直面し改革を進める

現在39歳の西山社長は、大手自動車メーカーの衝突実験エンジニアとして勤務した後、2007年に24歳で入社した。前職で本格的な溶接作業を初めて経験し、ものづくりの魅力に取り憑かれて、家業に戻ることを決めた。

当時の西山製作所は従業員数7名で、西山社長は短期間でシャーリング、ブランク、曲げ、溶接とほぼすべての工程を経験した。リーマンショックで業績が悪化したのを機に、2009年頃から営業担当として新規得意先の開拓に挑戦したが、最初はほとんど成果に結びつかなかったという。

「門前払いばかりで、成約率はほぼゼロでした。自社の強みを見いだし、お客さまへのアプローチのしかたを変えなくては生き残れないと痛感しました」(西山社長)。

それまでは1.6~3.2㎜の薄板しか受け付けていなかったが、保有設備の能力をフルに生かし、1.0~4.5㎜まで加工範囲を広げ、製缶の仕事にも対応するようになった。技術的なハンデは、スケジューリングの工夫や努力で対処できる「短納期対応」を強みとして打ち出すことで補った。ホームページを作成し、神奈川産業振興センターなどが主催する商談会にも積極的に参加するようになった。

西山社長自身も「はだの次世代リーダー塾」のような外部研修に参加し、経営の知識を学びながら、地域の企業とのネットワークを構築していった。

新たに獲得した仕事 ― 実績の少ない加工範囲の仕事は、軌道に乗るまで西山社長が率先して対応した。仕事が終わった後、「給料はいらないから一緒に作業させてほしい」と同業者の工場に通い、溶接や仕上げの技術を学んだ。

「諸先輩がたからは、ものづくりの技術や見積りの考え方、ビジネスマナーや遊び方といった経営者としての振る舞いまで教えていただきました。B to Bのビジネスのイロハも知らない若輩の私を辛抱強く指導してくださった先輩がたとの出会いは、かけがえのない財産です」と西山社長は振り返る。

画像:5Gなど通信インフラ向け事業を強化左:2台のロボット溶接機で建設機械部品などロットサイズが大きい製品を溶接する/右:通信インフラ向け通信用ラック。毎週定期的に納品している

会社情報

会社名
有限会社 西山製作所
代表取締役
西山 忠宏
所在地
神奈川県秦野市曽屋670-1
電話
0463-73-6935
設立
1975年
従業員数
16名
主要製品
建築設備、通信機器、建設機械、空調機器、医療機器、半導体製造装置、自動サービス機などの板金・製缶部品
URL
https://www.nishiyamass.co.jp/

つづきは本誌2023年3月号でご購読下さい。

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