「食の安全・安心」を担保する食品機械と厨房機器の板金加工
3次元設計~板金・機械加工~組立のワンストップ受注
「JIS Q 9100」の認証取得が転機 ― 顧客から信頼される加工技術と品質管理
有限会社 ステンレスアート共栄
精度の高い試作と迅速な量産化をサポート
㈲ステンレスアート共栄の永友義浩社長は「お客さまと製品の課題を共有し、開発(デザイン・設計)段階からものづくりに携わり、設備を駆使して構想やイメージをカタチに変えるのが当社のビジネス」と語り、強力なリーダーシップを発揮している。
同社ではSolidWorks、SheetWorksなどの3次元CADと構造解析・熱流体解析などの解析ソフトを駆使したCAD/CAM/CAEに早くから取り組んできた。製品開発の初期段階から機能性と製造性を考慮した設計提案を行うことにより、精度の高い試作と迅速な量産化をサポートする。加えて、創業者である祖父の代から継承してきたバフ研磨技術と最新の同時5軸制御マシニングセンタ、ターニングセンタなどによる機械加工、板金加工、溶接・仕上げ・組立までのワンストップサービスで生産ボリュームが増えてきた。
2026年度に新工場竣工を計画
2018年5月に現在地に600坪の新工場を建設したが、同時5軸制御マシニングセンタ、2mの加工範囲を備えた立形マシニングセンタ、平板・パイプ兼用ファイバーレーザマシンENSIS-3015RI+LSTRI-3015Eなどの新設備も加わり満杯になった。そのため、車で10分ほどの場所に敷地面積300坪の貸工場を借り、装置・電装の組立を行う組立部門を移管した。
また、今後の需要増に対応するため2026年度中の竣工を目指し、茨城県常陸太田市が造成した「常陸太田市東部地区」の用地6,500坪を新たに契約。2024年秋に第1期工事として延べ800坪の工場建設に着工する。この工業団地は大型商業施設に隣接しており、常陸太田市がランドスケープデザインをコンセプトに製造工場、商業施設、公園などを巻き込んだSDGsに対応する工業団地として企業誘致していた。永友社長は、同社がOEM生産を行っている生ごみ処理機などの新規案件に対応するため、この工業団地への工場進出を2022年暮れに決断した。
順調な生ごみ処理機のOEM生産
2021年からOEM生産が始まった生ごみ処理機は、東京品川区に本社があるシーエヌシー㈱のOEM製品。微生物(バイオ)で生ごみを分解処理する機能はそのままに、タッチパネルやユニバーサルデザインを採用している。
「最低限のCO2排出量で、処理後の残留物もほぼありません。投入した生ごみを散水しながら撹拌し、微生物による分解を促進することで消滅させ、最後に残るのは下水道や浄化槽に流せる水溶液だけ。生ごみを入れるだけで全自動で処理するため手間も不要です。環境問題の観点からも空港やホテル、病院などを中心に引合いが増えています。最近ではコープさっぽろ様が約90店舗へ導入されました」(永友社長)。
2023年度も前期比増収を見込む
同社は食品機械、包装機械、半導体製造装置、航空機のギャレーやラバトリー関連機器、プライベートジェットの客室什器・内装品、再生医療機器、アミューズメント機器、オフィス用品・什器、建物内装品、建築金物など幅広い仕事を手がける。
得意先は50社超で、そのうち10~15社で売上の大半を占める。2022年秋ごろまでは半導体製造装置関連が売上の25~30%を占めていたが、半導体需要の低迷で今年に入り大幅減産。一方で、売上の30%を占める食品機械向けの仕事が順調に伸び、生ごみ処理機の仕事も右肩上がりで成長したことで、半導体製造装置の落ち込みを補った。2023年度の売上も前期比微増が見込まれている。
会社情報
- 会社名
- 有限会社 ステンレスアート共栄
- 代表取締役
- 永友 義浩
- 所在地
- 埼玉県富士見市下南畑3767-15
- 電話
- 049-268-1155
- 設立
- 2001年
- 従業員数
- 52名(ベトナム人10名、パート含む)
- 主要事業
- 各種板金加工・フレーム・筐体・点字製品・各種研磨製品の3 次元設計・製造
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