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「食の安全・安心」を担保する食品機械と厨房機器の板金加工

「FOOMA JAPAN 2023」開催

食品製造プロセスの自動化・省人化ソリューションが多数出展

人手不足解消・フードロス削減に貢献するAI・ロボット・冷凍技術などに注目

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画像:食品製造プロセスの自動化・省人化ソリューションが多数出展「FOOMA JAPAN 2023」の会場。来場者数はコロナ前を超えた

コロナ前を超えるにぎわい

世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2023」が6月6日から9日までの4日間、東京ビッグサイトで開催された。主催は一般社団法人日本食品機械工業会。食品機械・装置および関連機器を中心に、食品製造プロセスに関わるあらゆる分野の企業が集結し、最先端の技術・製品を披露した。

出展者数は969社で、前回の874社から100社ちかく増え、2年連続で過去最多を更新した。

会期中の来場者数は前回比14.4%増の10万6,104名で、コロナ前に開催された2019年の10万680名を超えた。海外からの来場者数は3,178名で、2019年の5,134名にはおよばなかったものの前回の395名から約8倍に増えた。入国制限が緩和されたことで海外からの来場者が大幅に増加し、初日の開場直後から活発な商談が行われた。

「FOOMAアワード」 ― 高度な独自技術を評価

出展製品の中から研究開発の面で特に優れた製品を顕彰する「第2回FOOMAアワード2023」では、応募総数41件の中から、サタケのベルト式光選別機「ベルトゥーザスペクトラ」が「最優秀賞」に選ばれた。X線とAIを組み合わせた「内観検査」(虫食い・半割れなどの内部欠損を検出)、フルカラーカメラ(RGB)3波長による「外観検査」(形状不良・変色を検出)、NIR(近赤外線)2波長による「成分検査」(殻などを検出)に1台で対応する。主な想定ワークはアーモンドで、主要産地である欧米でも採用されている。日本発の高度な技術で、食品機械業界の課題である海外市場の開拓に貢献している点も評価された。

「特別賞」は鈴茂器工のベンダー工場向け「飯盛り容器供給ライン」が受賞した。これまで同社は飲食店や加工場向けの卓上タイプを出展することが多かったが、今回は「工場もSUZUMOにおまかせ!」と謳い、食品・惣菜工場向け大型機を前面に押し出した。今回受賞したのはコンビニ弁当向けのラインで、生産能力は最大で1時間1,800食。頻繁にデザインが変わるコンビニ弁当の容器形状に合わせ、ご飯をふっくらと充填することができる。「盛り付けの自動化技術は日本メーカーの独壇場」ともいわれ、業界発展への寄与が期待される。

画像:食品製造プロセスの自動化・省人化ソリューションが多数出展左:「第2回FOOMAアワード2023」の「最優秀賞」に選ばれたサタケのベルト式光選別機「ベルトゥーザスペクトラ」。内観検査・外観検査・成分検査に1台で対応する/右:「特別賞」を受賞した鈴茂器工のベンダー工場向け「飯盛り容器供給ライン」。コンビニ弁当向けのラインで、生産能力は最大で1時間1,800食

足もとの受注環境にはバラツキ

会場ではコロナ前を超えるにぎわいを見せる一方、足もとの受注環境については「コロナ前にはまだおよばない」「アフターコロナへ向けて引合いが加速するかと思ったが、意外に落ち着いている」といった声が多く聞かれた。

ただし、分野・企業によってバラツキが目立ち、製菓機械メーカーからは「コロナ禍の影響は今もくすぶっている。特に土産物向けはコロナ前の80%程度」とのコメントがあった一方、冷凍機械メーカーからは「業務用の冷凍機械がコロナ前並みに回復してきた」という声もあった。

部品の供給制約については、一部で「特殊な部品の中には入手できるまでに1年以上かかるものもあり、生産が停滞している」といったコメントもあったが、「かなり緩和された」「ほとんど影響はない」という声が大半を占めた。

自動化・省人化ソリューションが多数出展

人手不足が深刻化する中、今回も自動化・省人化への対応が最大のテーマとなっていた。中でもAI・ロボット技術を採り入れた製品・ソリューションが多数出展された。特に内食・中食へ向けた惣菜盛り付けの自動化技術や、既存の食品工場の一部工程をそのまま自動化するソリューションに注目が集まった。

安川電機は、AI画像判定ソリューション「Y’s-Eyeコンパクト」を出展した。コンパクトにすることで、人手による従来の検査工程からの置き換えが容易になった。「ここへきて引合いが増えている。数年前から提案してきたが、いよいよロボットとAIのコスト・精度が実用にマッチしてきた。導入先の80%は食品産業。AI画像検査は、食品のようにひとつとして同じものがない対象物のあいまいな判定に向いている」(担当者)としている。

コネクテッドロボティクスは、1時間1,200~1,500パックの高速生産に対応する蓋閉ロボット「Futappy」を初めて出展したほか、「第2回FOOMAアワード2023」の「最優秀賞」にノミネートされた惣菜盛付ロボット「Delibot」を出展。Delibotは数分で異なる品目に段取り替えができ、1人分のスペースで2人分の生産能力を実現できる。

  • 画像:食品製造プロセスの自動化・省人化ソリューションが多数出展安川電機はAI画像判定ソリューション「Y’s-Eyeコンパクト」を出展した
  • 画像:食品製造プロセスの自動化・省人化ソリューションが多数出展コネクテッドロボティクスは惣菜盛付ロボット「Delibot」を出展。1人分のスペースで2人分の生産能力を実現できる

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